2015年11月3日火曜日

日経“お家芸”のミス再び 「小麦国際価格、1カ月ぶり高値」

先物市場に関して「市場全体が買い越し(あるいは売り越し)」と解釈するしかない書き方を日経は頻繁にしてくる。と言っても最近は見かけなかったので「ひょっとして社内で問題が周知されたのかな」と期待していたが、やはりダメだった。3日の日本経済新聞 朝刊マーケット総合2面に載った「小麦国際価格、1カ月ぶり高値 豪州の天候不順で」という記事では、“お家芸”とも言える間違った書き方をしている。

シーサイドももち海浜公園(福岡市早良区) ※写真と本文は無関係です
この件で日経に問い合わせはしてみたものの、対応としてはお決まりの無視だろう。「商品部の担当記者・デスクに問い合わせを届けてください」とお願いしているので、それだけでも実現させてほしい。記者が知識不足なのは、まだ仕方がない。しかし、今回のような記事が平気で世に出てしまうのは、デスクにも初歩的な知識がないからだ。そこに危機感を持っている編集局の幹部はいないのだろうか。

記事の当該部分と日経への問い合わせは以下の通り。

【日経の記事】

今年は太平洋の赤道付近で海水温が高くなるエルニーニョ現象の規模が大きい。豪州では「乾燥の影響で小麦の収穫量が下振れする」(ナショナル・オーストラリア銀行)との見方が広まっている。

米商品先物取引委員会(CFTC)によるとシカゴ市場の売り越し幅は、10月27日時点で前週に比べ3割縮小した。米農務省の需給報告によると豪州の小麦の輸出量は世界全体の1割を占める。



【日経への問い合わせ】

記事中に「米商品先物取引委員会(CFTC)によるとシカゴ市場の売り越し幅は、10月27日時点で前週に比べ3割縮小した」との記述がありますが、シカゴの小麦先物市場で全体として「売り越し」になることはありません。市場全体では買い建玉と売り建玉の残高は常に等しくなります。「前週に比べ3割縮小した」というのは非商業部門のポジションではありませんか。しかし、記事からは「シカゴ市場が全体として売り越し」としか解釈できません。

記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題ないとの判断であれば、その根拠を教えてください。日経の紙面全体で見ると、最近は「投機筋の買い越し」などと記述するケースが多く、間違い垂れ流し状態だった春ごろと比べて改善が見られます。それだけに今回の誤りは残念です。経済紙としてはかなり恥ずかしいミスなので、再発防止に努めてください。


※記事の評価はE(大いに問題あり)とする。

追記)結局、回答はなかった。

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