【ダイヤモンドの記事】
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米国では、2013年4月にボストンのマラソン大会で起きた爆弾テロ事件が「ホーム・グロウン」の最たる例。チェチェン系移民の家庭に育った兄弟が犯人だったのだが、「ホーム・グロウン」のリスクは欧州の方が高い。
欧州のイスラム系移民にとって、社会同化は困難だ。法制面では平等だが、イスラム系が多い地区に住み、若者は就職難で失業率が高い。経済格差に対する不満がくすぶっている。
そこに、過激派組織「イスラム国」(IS)が目を付けたわけだ。米連邦捜査局によると、ISは23カ国の言葉を使い、SNS経由で募集活動しているが、パリのテロ事件を首謀したアバウド容疑者がプロパガンダ活動を担当していた。
襲撃犯たちは依存体質にあり、洗脳されたのだ。国際政治の要素はなかったが、1995年に起きたオウム真理教事件の「デジャビュ(既視感)」である。
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まず「襲撃犯たちは依存体質にあり、洗脳されたのだ」と断定しているのが気になる。襲撃犯の横顔がようやく浮かび上がってきた段階で「洗脳された」と言い切れる根拠はあるのか。死亡した襲撃犯も多いのだから、洗脳されていたかどうかを判定するのは、かなり困難だと思える。襲撃犯全員が「依存体質にあり、洗脳されていた」と松浦編集委員は短期間にどうやって判断したのだろうか。推測に基づく断定でなければよいのだが…。
「1995年に起きたオウム真理教事件の『デジャビュ(既視感)』である」との見方にも同意できない。オウムの事件では、事件に関わった人物に高学歴の人間が多かったことが知られている。「若者は就職難で失業率が高い。経済格差に対する不満がくすぶっている」というイスラム系住民の置かれた環境にテロの原因を求めているのであれば、オウムの事件とはかなり様相が異なる。
結局、パリまで行って取材してみても「語るべき何か」を松浦編集委員は見つけられなかったのだろう。それはそれで仕方がない。「だったら、さっさと諦めて別のテーマで記事を書けばよかったのに…」とは思う。何といってもタイトルに「from 米国」と付いているのだから、米国発の情報を伝えるのが本筋だ。
今回のようなレベルの記事しか書けないのであれば、「from 米国」という制約を無視してまでパリ同時テロを語る意義はなかったと結論付けたい。
※記事の評価はD(問題あり)。松浦肇編集委員の評価もDを据え置く。この書き手については「『金融危機から6年』? 産経の松浦肇編集委員へ質問」も参照してほしい。
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