日本経済新聞の関口桜至朗記者は岩田屋の宣伝係でもやっているつもりなのか。20日の朝刊 九州経済面に載った「高級ラウンジ活況 岩田屋三越、1000万円購入客も~モノ・サービス提案 若年層取り込む」という記事は目を覆いたくなる出来の悪さだった。冒頭で「百貨店の岩田屋三越(福岡市)が岩田屋本店(同市)に設けた高級ラウンジに、20~30代の富裕層が集まっている」と打ち出しているが、この話自体が苦しい。記事の一部を見ていこう。
宮島 |
【日経の記事】
岩田屋本店にある富裕層向けの「ラウンジS」は、2021年3月にオープンした。(中略)ラウンジの利用には事前予約が必要で、受け入れるのは1日1組のみだ。毎月10組程度が利用し、これまでに延べ約180組が訪れた。
岩田屋三越によると、客層は20~30代の若年層が1割程度を占める。ラウンジ担当者は「百貨店を利用する富裕層は高齢の方が多いイメージだが、岩田屋本店新館は若者に人気のブランドも多く入っていることから、客層は比較的若い」と話す。
◎わずか20組程度?
電子版では違う見出しが付いているが、紙の新聞では「高級ラウンジ活況」となっている。しかし「受け入れるのは1日1組のみ」で「毎月10組程度が利用し」ている程度らしい。「1日1組」しか「受け入れ」ないのに稼働率は3割ぐらいで高くない。「高級ラウンジ」での売り上げがどの程度あるのかは不明。全体として「活況」を呈していると判断できる材料はない。
では「高級ラウンジに、20~30代の富裕層が集まっている」とは言えるだろうか。「約180組が訪れ」て「若年層が1割程度」だとすれば開設から2年近くが経過して利用は20組前後。これで「高級ラウンジに、20~30代の富裕層が集まっている」と見なすのは無理がある。
なのに「具体的な購入品目は秘密だが、若年富裕層の客が1000万円を超える商品をまとめて購入したこともあったという。投資などで成功した若年層が、豊富な資金力で高額消費を楽しむ構図が浮かび上がる」などと書いてしまう。嘘ではないとしても強引に盛り上げている印象は否めない。
取材してみて「岩田屋の高級ラウンジにどんどん20~30代の富裕層が集まってきているのか。これは面白い話だ」と関口記者が本気で思えたのならば経済記者には向いていない。ネタに困って強引に九州経済面のトップ記事を書き上げたのかもしれないが、だとしても「こんな岩田屋の宣伝係を買って出たような苦しい記事を世に送り出して恥ずかしい」という気持ちは持ってほしい。
※今回取り上げた記事「高級ラウンジ活況 岩田屋三越、1000万円購入客も~モノ・サービス提案 若年層取り込む」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC065HV0W2A201C2000000/
※記事の評価はD(問題あり)。関口桜至朗記者への評価もDとする。