福岡城跡(福岡市中央区)からの眺め ※写真と本文は無関係です |
記事では以下のように書いている。
【日経の記事】
加えて、買い主候補もまだ売り出されていない物件に関する購入希望を表明したり、売り出し中の物件の所有者に直接問い合わせたりすることができる。消費者にとっては選択肢の広がる新サービスだが、一気に支持を得られるかは未知数だ。
人生で最大の買い物である不動産に消費者の反応は敏感になる。特にネット上での取引には個人情報の扱い、売買成立後のトラブル対応など懸念材料がつきまとう。
例えば、横浜市で発覚したマンション傾斜問題など不測の事態にどう対応するのか。「想定されるトラブルについては関係省庁や機関と日々詰めている」(西山氏)とはいえ、個人間売買では売り主自身が対応の矢面に立つことになる。二の足を踏む消費者が出てくる可能性はある。
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そもそもこのサービスは「ネット上での取引」なのか。物件見学の申し込みまではネットでできるようだが、会社のサイトを見ても、全ての取引がネットで完結するとは確認できなかった。「ネット上での取引」と言えないならば、話の前提が崩れてしまう。
「不測の事態にどう対応するのか」とか「個人間売買では売り主自身が対応の矢面に立つことになる」といった話は、このサービスに限ったものではない。「新サービス」について「一気に支持を得られるかは未知数だ」と書くならば、新サービスゆえの不安要素を挙げるべきだろう。
次は「ヤフーの中立性を巡る問題」を検討する。
【日経の記事】
既存のサービスで不動産会社から提供を受けた情報をネット上で発信しているヤフーに対し、業界団体の不動産流通経営協会は「自らが不動産の取引に関わるのは公平性が保たれない」と主張。12月以降、住宅情報の提供をやめる。ヤフーの宮坂学社長は「消費者に中立なサービスにしたい」と話すものの、ヤフーの中立性を巡る問題が今後の火種となりかねない。
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上記のくだりは理解に苦しんだ。業界団体の主張を受けてヤフーが「12月以降、住宅情報の提供をやめる」のであれば、「中立性を巡る問題」は解決したのではないか。なのに「今後の火種となりかねない」と書いてあるので、混乱してしまった。「住宅情報の提供」以外にも中立性を問われる事案があるのかもしれないが、記事では触れていない。これでは、お世辞にもきちんと説明しているとは言えない。
そして、最後の段落に関してもコメントしておこう。
【日経の記事】
不動産の取引に占める中古物件の流通量が8~9割という欧米に比べ、日本はまだ1割強。人口減に伴う空き家の増加なども問題となるなか、ヤフーとソニー不動産が投じた一石は中古不動産市場を見直す契機になることは間違いない。
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筆者である星記者と花井記者が「ヤフーとソニー不動産が投じた一石は中古不動産市場を見直す契機になることは間違いない」と感じたいのならば、それは尊重する。しかし、もう一度考えてほしい、このサービスでは本当に「仲介業者に頼らず」売買できるのだろうか。本当に「ネット上での取引」と呼ぶべきものなのか。本当に高い新規性を有するサービスなのか。真摯に検討すれば、自ずと答えは浮かび上がってくるはずだ。
※記事の評価はD(問題あり)。星正道、花井悠希の両記者への評価も暫定でDとする。記事を担当したデスクの責任が重いことも付け加えておく。
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