2015年11月5日木曜日

日経1面「郵政上場」解説記事 瀬能繁編集委員に問う(1)

郵政上場、次は成長力」という5日の日本経済新聞1面トップの記事に付けた解説記事「官業脱却、市場が監視」は首を傾げたくなる内容が目立った。筆者が瀬能繁編集委員なので当然なのかもしれないが…。まず引っかかったのが、民営化後に「設備投資も止まった」という日本郵政幹部のコメントだ。これはどうも怪しい。日経に問い合わせを送ったので、その内容を紹介しておく。「瀬能編集委員にも届けてほしい」とお願いしてあるが、筆者からの回答はないだろう。
英彦山の銅鳥居(福岡県添田町) ※写真と本文は無関係です

【日経への問い合わせ】

記事中で瀬能繁編集委員は「株式会社として2007年に発足した日本郵政は『民営』ながら『国有』というねじれを残した。政争の具になった結果、経営の緊張感も失われ『設備投資も止まった』(日本郵政幹部)」と説明しています。しかし、日本郵政の公表している資料によると、民営・分社化後も2013年度まで年間1600億円程度の設備投資を継続していたようです。14年度以降は投資額を膨らませています。つまり「設備投資は止まっていなかった」のです。

民営化後に「設備投資の伸びが抑制された」「設備投資が十分にはできなかった」といったことはあるでしょう。しかし、それらを指して「設備投資が止まった」とは考えないはずです。常識的に判断すれば「設備投資が止まった=設備投資が凍結された」となります。投資額がごくわずかであれば「止まった」と表現しても許容範囲内かもしれません。しかし年間1000億円を超える設備投資があったのであれば、「止まった」と説明するのは、無理があります。

記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいとすれば、その根拠も併せて教えてください。

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日本郵政ぐらいの規模になると、設備更新だけでもかなりの額になるだろうから設備投資が止まることは基本的にないはずだ。「日本郵政幹部のコメントだから間違っていても許される」というものでもない。会社の公表資料を少し調べれば「止まっていない」のは、すぐに分かるはずだ。もちろん「ごく短い期間は設備投資が凍結された」といった可能性は残る。仮にそうなら、そこはきちんと説明しないと読者に誤解を与えてしまう。

記事には他にも問題を感じた。それらは(2)で述べる。

※(2)へ続く。

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