英彦山神宮奉幣殿(福岡県添田町) ※写真と本文は無関係です |
記事の詳細を見ていこう。
【日経の記事】
ヤフーとソニー不動産(東京・中央)は5日、個人がインターネットを使ってマンションを売買できるサービスを始めたと発表した。仲介業者と消費者の間にあった物件情報の格差をIT(情報技術)の活用で解消。売り主が自分で決めた売却価格で買い主を探せるようにする。仲介業者頼みの現状に風穴を開け、中古不動産市場の活性化につなげられるか。
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「売り主が自分で決めた売却価格で買い主を探せるようにする」と書くと、これまでは自分の決めた売却価格で買い主を探せなかったように感じるが、そんなことはない。これまでも売り主は自分で売却価格を決められたはずだ。もちろん業者の助言を参考にはしただろうが…。
【日経の記事】
「オープンで公平な仕組みを作る」。記者会見したソニー不動産の西山和良社長は新しいサービス「おうちダイレクト」の意義をこう語った。まず東京都心6区のマンションを対象に立ち上げ、順次地域を広げる。
マンションの所有者がサイト上で登録すれば、購入希望者とネット上で情報をやりとりし、売買交渉ができる仕組み。物件の見学や売買条件の調整、決済や物件の引き渡しなど実務はソニー不動産が支援。手数料は売り主を無料とし、買い主から「成約価格の3%+6万円」を受け取る。
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売り主からは手数料を取らないとは言え、買い主から「成約価格の3%+6万円」を受け取るのであれば、手数料の名目を何にしようと、実態としては不動産売買の仲介だ。これで「仲介業者頼みの現状に風穴を開け」られるのか。
【日経の記事】
新サービスの要となるのはソニー不動産がソニーと開発した人工知能による「不動産価格推定エンジン」だ。物件の立地や部屋の特徴といった情報を首都圏約5万棟のマンションの取引データに照らし合わせて推定成約価格をはじき出す。専門知識や相場情報に乏しい消費者でも売り出し価格の目安がつく。
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これが「新サービスの要」ならば、このサービスは本当に大したことがない。「仲介業者と消費者の間にあった物件情報の格差をIT(情報技術)の活用で解消」するような代物でもなさそうだ。「人工知能」に頼らなくても、過去の取引情報から判断して業者は値付けの助言ができる。それを、もっともらしい「不動産価格推定エンジン」にやらせるだけだろう。仮にこのエンジンが完璧なものでも、仕組みはあくまで業者任せだ。例えば、「エンジンが割り出した適正価格の10%低い価格を売り主に提案する」とプログラムしておけば、簡単に売り主をだませる。
このサービスの利用者がソニー不動産との情報格差を解消するためには、ソニー不動産が持つ取引情報に社内の人間と同じレベルでアクセスする必要がある。そんなことが可能かどうか、少し考えれば分かるはずだ。
記事の後半部分の問題点は(2)で述べる。
※(2)へ続く。
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