2015年11月16日月曜日

週刊エコノミスト特集「世界を飛べMRJ」の高い完成度

週刊エコノミストは不思議な雑誌だ。発行所は毎日新聞出版。「なぜ経済誌なんか出してるの?」と思わなくもない。毎日新聞系の悲しさか、資金も人員もそれほど潤沢ではないのだろう。エコノミストなど外部ライターへの依存度が高く、雑誌のイメージも正直言って地味だ。しかし、ツッコミどころの少なさという点では、週刊東洋経済、週刊ダイヤモンド、日経ビジネスなどと比べて優れている気がする。つまり完成度は相対的に高い。
秋月中学校(福岡県朝倉市) ※写真と本文は無関係です

そんなエコノミストの11月24日号は珍しく力の入った特集だった。国産初の民間ジェット機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の初飛行を受けて組んだ「世界を飛べMRJ」は第1部20ページ、第2部9ページの大型特集で、やはり完成度は高い。タイトルからも分かるように、基本的にはMRJを前向きに取り上げている。だからと言ってヨイショ一色でもない。MRJに関して、試作機とは違い量産機の生産では様々な課題があることも指摘。初飛行計画を5回延期した影響で「当初2年の時間間隔を確保していた初飛行から初号機納入までの期間は、約1年半(20カ月)になっている」と残された時間の少なさにも触れている。

インタビュー記事の充実も目を引いた。ローンチカスタマーとなるANAの社長、地方航空会社のフジドリームエアラインズの会長のほか、航空機部品メーカーのナブテスコ、住友精密工業、ジャムコなども個別のインタビュー記事があって、日本の航空機関連産業の動向を幅広く理解するのに役立った。

強いて気になった点を挙げれば、第2部の「空港設備銘柄 特殊車両、管制、空港内設備… 航空需要増加で伸びる日本企業」という記事だろうか(筆者は武蔵情報開発代表取締役の杉山勝彦氏)。この分野ではこの会社、こっちの分野ではこの会社と、次々に短く会社を紹介していく記事を読むのは辛かった。大きな問題があるわけではないが、記事に付けた「空港用設備・機材の関連23銘柄」という表と本文は内容がかなり重複している。銘柄紹介は表に任せて、本文ではもう少し焦点を絞った構成にした方が良かっただろう。

※特集の評価はB(優れている)。谷口健記者、大堀達也記者、平野純一記者への評価も暫定でBとする。

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