2018年6月28日木曜日

W杯で阿刀田寛記者の慢心が怖い日経「日本と当たりたい?」

サッカーW杯で日本が1次リーグを突破できるのか、まだ分からない。なのに、1位で突破した後に対戦する「G組の相手」が「日本くみしやすしとみて、同組のライバルに白星を譲り合いはしないだろうか」と気の早い心配をしているのが日本経済新聞の阿刀田寛記者だ。強敵ポーランドとの対戦を前に慢心が見えるようで不安だ。阿刀田記者に気の緩みがあっても日本代表のプレーに影響はないのだが…。
佐世保港(長崎県佐世保市)※写真と本文は無関係です

28日の朝刊スポーツ2面に載った「ハラショー~日本と当たりたい?」という記事を見ていこう。

【日経の記事】

ポーランド戦を残す日本がセネガルと並んで1次リーグH組の首位に立ったことで、決勝トーナメント1回戦で日本と当たるかもしれないG組の相手のことが、がぜん気になりだした。

この組はベルギーとイングランドがすでに2勝。ともに勝ち抜けが決まっていて、日本―ポーランド戦直後に始まる直接対決で順位を決める。

H組1位はG組2位と、H組2位はG組1位と当たるが、もしも日本が1位抜けしたとき、G組の2強対決は真剣なものになるだろうか。日本くみしやすしとみて、同組のライバルに白星を譲り合いはしないだろうかと、妙なことが心配になるのである。欧州から遠い島国に生まれたサッカー記者の、みじめな劣等感とわかっているのだが



◎「劣等感」ある?

もしも日本が1位抜けしたとき、G組の2強対決は真剣なものになるだろうか」と心配しているのだから、「日本が1位抜け」する可能性が十分にあると阿刀田記者は思っているはずだ。つまり「ポーランドのような欧州の強い国に勝つのは厳しいかも」とは見ていない。

だとしたら「欧州から遠い島国に生まれたサッカー記者の、みじめな劣等感」はあまり感じられない。そんな「劣等感」があるのならば、1次リーグ敗退の心配をひたすらするはずだ。

ついでに記事の続きも見ておこう。

【日経の記事】

1次リーグ最終戦では、この手の皮算用が絡んだ片八百長や無気力試合が生じうる。

実際、2002年日韓大会でポルトガルが開催国の韓国に「0―0で引き分けよう」と“目くばせ”をするのを見たことがある。最終戦前のD組4チームの勝ち点は韓国4、米国4、ポルトガル3、ポーランド0。韓国―ポルトガル戦の勝者が米国と一緒に勝ち上がるとみられていた。

ところが同時開催の他会場で、米国がポーランド相手に早々と2失点。退場者を出して劣勢に置かれていたポルトガルはそれを知ると、試合中に矛を収めて韓国に“取引”を持ちかけた。

韓国は応じなかった。ポルトガルの当時のスター、ルイス・フィーゴに話しかけられた韓国選手は、そもそも何を言われているかもわからなかったという。その後、韓国の朴智星が鮮やかな決勝点を決めてポルトガルはここで敗退。甘言になびかなかった志操堅固な選手たちを韓国の新聞はこぞってたたえていた



◎「目くばせ」? 「志操堅固」?

ポルトガルが開催国の韓国に『0―0で引き分けよう』と“目くばせ”をするのを見たことがある」と阿刀田記者は言うが、「ポルトガルの当時のスター、ルイス・フィーゴ」が韓国選手に話しかけて取引を持ち掛けたのであれば「目くばせ」を超えている。「目くばせ」は「言葉にはしないが態度や表情で示した」という状況の時に使うべきだ。
久留米市立久留米商業高校 ※写真と本文は無関係です

韓国人選手は「そもそも何を言われているかもわからなかった」のであれば、取引に応じようがない。つまり「甘言になびかなかった志操堅固な選手たち」とは言い難い。「韓国の新聞」がそう誤解したのかもしれないが、だとすれば「甘言になびかない志操堅固な態度だと誤解した韓国の新聞はこぞって選手たちをたたえていた」などと書くべきだ。

記事の残りを見ていこう。

【日経の記事】

翌日、いきなりポルトガル人記者に詰め寄られて驚いた。当方を韓国人記者と取り違えたらしかった。「おまえらはどういうつもりだ? 一緒に勝ち上がるのは悪いことじゃない。そういう隙を見せた米国が悪いんじゃないか」と口を極めてなじられて、W杯には色々な理屈があるものだと思ったのを覚えている。

でもねえ、ポルトガルさん。世に中には腹芸の通じない相手もいるし、取引が成立したところでいつ裏切られるか知れたものじゃないでしょ。ベルギーさんやイングランドさんも気をつけたほうがいいですよ。怖いバッターを敬遠した後、思わぬ伏兵にぽかりと打たれるのはよくあることですから……。と、島国のサッカー記者はそんなふうにも思っているのである。



◎その時はどう対応した?

このくだりに大きな問題はない。ただ、「でもねえ、ポルトガルさん。世に中には腹芸の通じない相手もいるし、取引が成立したところでいつ裏切られるか知れたものじゃないでしょ」という部分は引っかかった。「いきなりポルトガル人記者に詰め寄られ」た時にそう返したのだろうか。記事の書き方からすると、違うようだ。

ポルトガル人記者」には直接言えなかったのに、今頃になって記事で「でもねえ、ポルトガルさん」と書かれても、阿刀田記者の側に立つ気にはなれない。「『自分は韓国人ではない。でも言わせてもらうと、世に中には腹芸の通じない相手もいるし、取引が成立したところでいつ裏切られるか知れたものじゃないでしょ』と言い返したのを覚えている」などと書いてあれば、「阿刀田記者やるな」と思えるのだが…。


※今回取り上げた記事「ハラショー~日本と当たりたい?
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180628&ng=DGKKZO32328280X20C18A6UU2000


※記事の評価はD(問題あり)。阿刀田寛記者への評価はDで確定とする。阿刀田記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

日経 阿刀田寛記者「2026年W杯」の解説記事に問題あり
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/06/2026.html

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