2018年6月30日土曜日

1,2戦目は「追いつき突き放した」? 日経のW杯解説に疑問

サッカーW杯の1次リーグで日本は「1、2戦目」に「攻めて追いつき、突き放した」と言えるだろうか。違うと思えるが、日本経済新聞のコラムでサッカー解説者の水沼貴史氏はそう解説している。日経に問い合わせた内容は以下の通り。
門司港(北九州市)※写真と本文は無関係です


【日経への問い合わせ】

日本経済新聞社 運動部 担当者様

29日夕刊のスポーツ2面に載った「至言直言 水沼貴史~光った守備的戦術」という記事についてお尋ねします。記事中で水沼氏はサッカーW杯での日本の戦いに関して以下のように述べています。

3試合を通じ、チームの幅、引き出しが広がったとも感じる。苦境でも勇敢に攻めて追いつき、突き放した1、2戦目のような戦い方。この日のように、守備から入ることもできる

この説明が正しければ、1次リーグの「1、2戦目」で日本は「攻めて追いつき、突き放した」はずです。しかし1戦目も2戦目もそうした展開にはなっていません。1戦目のコロンビア戦ではリードされる時間がなかったので「追いつき」ようがありません。2戦目のセネガル戦では逆にリードする時間がなかったので「突き放し」てはいません。その辺りは水沼氏も分かっているとは思いますが、きちんと説明できていません。

苦境でも勇敢に攻めて追いつき、突き放した1、2戦目のような戦い方」との説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。御紙では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。「世界トップレベルのクオリティーを持つメディア」であろうとする新聞社として、責任ある行動を心掛けてください。

ついでで恐縮ですが、1次リーグの勝敗表について改善を要望します(次のW杯になるかもしれませんが…)。まず、順位が上の国から並べてもらいないでしょうか。並びと順位がバラバラなので、非常に見づらく感じます。また、勝敗表は1カ所にまとめてください。毎回、探すのに手間取ります。

ちなみに読売と毎日は私の要望に合う作りとなっています。どちらが分かりやすいか、自分たちの紙面と見比べてみてください。朝日は並びと順位がバラバラではありますが、勝敗表は1カ所にまとめています。


◎最初からやってくれれば…

このコラムは水沼氏に話を聞いて日経の記者が記事を書いている可能性が高い。なので「攻めて追いつき、突き放した」のくだりは、記者の技量の問題だと見ている。

苦境でも勇敢に攻めて追いつき、突き放した1、2戦目」と言う場合、「1戦目=苦境でも勇敢に攻めて追いつき」「2戦目=突き放した」ならば弁明の余地もありそうだが、現実は逆だ。

何の情報も持たずに「苦境でも勇敢に攻めて追いつき、突き放した1、2戦目」と聞いた人は「1戦目2戦目ともに、苦境でも勇敢に攻めて追いついた後で突き放す展開になった」と理解するのが自然だ。そう考えると、記事の説明はまずい。

ちなみに「勝敗表」は30日の朝刊では要望に沿う形となっていた。要望を受け入れてきれたわけではなく、1次リーグの全日程を終えた時点ではしっかりと見やすく作ったのだろう。それができるのならば、最初からやってほしかった。

追記)結局、回答はなかった。


※今回取り上げた記事「至言直言 水沼貴史~光った守備的戦術
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180629&ng=DGKKZO32396880Z20C18A6UUB000


※記事の評価はD(問題あり)。問題のくだりの責任は日経の記者にあると推定しているので、水沼貴史氏への評価は見送る。

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