2016年1月25日月曜日

週刊ダイヤモンド 無理ある特集「三菱最強伝説」の矛盾

週刊ダイヤモンド1月30日号の「三菱最強伝説」は無理のある特集だった。三菱グループを「世界でもトップクラスの企業集団」「トヨタをしのぐ」などと持ち上げているが、周知のように三菱グループは韓国の財閥のような一体感のある企業グループとして組織されているわけではない。それを「巨大コングロマリットである三菱グループを一つの『企業』と見なすと、売上高の合計は58兆円にもなる。これは世界最大の売上高を誇る米小売りのウォルマートをはるかに上回る」と強引に比較した上で「最強」と称える意味は乏しい。

しかも、特集には辻褄の合わない説明も出てくる。
新宿センタービル(東京都新宿区)※写真と本文は無関係です

【ダイヤモンドの記事】

しかし、三菱自動車が経営破綻寸前に陥った際、グループの総力を挙げて支援に動いたように、緊急時に強固な結束力を誇るのが金曜会の特徴だ

もし今後、金曜会のメンバー企業が経営危機に陥った場合、金曜会はどう動くか。メンバー企業の現役社長の一人は断言する。

「今起こってもやっぱり支援する。親睦団体は建前で、緊急時は別。スリーダイヤを守るためなら、絶対に結束するのが金曜会という組織だ


【ダイヤモンドの記事】 

また、日本郵船や東京海上日動火災保険など、「三菱」の名を冠さないグループ企業は、金曜会に対する帰属意識そのものが薄い。

三菱自動車が経営危機に陥った際、グループの主要企業である郵船や東京海上にも支援を要請したが、われ関せずで袖にされた」と三菱商事OBは語る。

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三菱グループの最高決定機関 金曜会の知られざる権力構造」という記事では「緊急時に強固な結束力を誇るのが金曜会の特徴だ」と書いている。一方で「結束力は住友より劣る? 三菱内部の意外な不仲企業」という記事では、緊急時にグループの主要企業(日本郵船や東京海上)が結束しようとしなかった実態を描いている。これは矛盾と言うほかない。

今回の特集には「国宝を愛でよう 三大財閥コレクション」という記事が3ページも付いていて、三菱、住友、三井のコレクションをこれでもかと紹介していた。財閥の歴史ぐらいならば、まだ付き合って読む気になるが、美術品にまで脱線するのは遊びが過ぎる。


※特集の評価はD(問題あり)。山口圭介副編集長と鈴木崇久記者への評価はF(根本的な欠陥あり)を維持する。両者については「『頭取ランキング』間違い指摘を無視 ダイヤモンドの残念な対応」を参照してほしい。重石岳史記者の評価は暫定でDとしたい。

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