2016年1月27日水曜日

「孤高のココイチ」書いた東洋経済 常盤有未記者に助言(2)

週刊東洋経済1月30日号に載った「個客対応力が支持の秘密だった 孤高のココイチここにあり!」について、筆者である常盤有未記者への助言を続ける。

早稲田大学大隈庭園(東京都新宿区) ※写真と本文は無関係です
◆常盤有未記者への助言◆

今回の記事を読んでいて「あれ? どう解釈すればいいの?」と迷った部分があります。経営者の交代に関する説明です。

【東洋経済の記事】

年間5000時間以上勤務するハードワークを続けてきた宗次氏だが、02年には53歳の若さで経営から退き、創業者特別顧問となる。「来期から社長をやらせてほしい」。前年の秋、副社長だった浜島氏からそう申し出があったためだ。

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上記のくだりを読むと、経営のバトンは宗次氏から浜島氏に渡ったと思ってしまいます。しかし、読み進めると「跡を継いだ妻が社長の時代」という記述に出くわして混乱してしまいました。それぞれ書いていることは間違いではないのでしょうが、説明としては不十分です。

説明に矛盾を感じるところもありました。記事中には「社長就任後は宗次氏に1回も相談したことはない」という浜島社長のコメントが出てきます。しかし浜島社長へのインタビュー記事では以下のような発言があります。

【東洋経済の記事】

創業者の哲学は「理論より実践」。思想は受け継いでいるが表現はちょっと変えて、「社是・ミッション・経営目的」の3つをもって理念とします、と話をして認めてもらった

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話をして認めてもらった」のが社長就任前という可能性もゼロではありませんが、「社長就任後に創業者と相談したことはあるのではないか」と疑問が湧きます。

私は普通の経営者を知らない。宗次徳二しか知らないもん」という浜島社長のコメントも引っかかりました。記事にもあるように、宗次徳二氏は社長の座を妻に譲っているはずです。ならば浜島社長は「宗次徳二以外の経営者」を知っているはずです。「宗次徳二しか知らないもん」と浜島社長は実際に言っているのでしょうが、注釈なしにそのまま記事にしてしまうのは感心しません。

なぜ多くの人に愛されるのか~壱番屋カレー作りのヒミツ」という記事もいくつか気になった点があります。まず「栃木工場は、壱番屋の重要拠点。潜入取材した」との説明です。取材だと明かさずに栃木工場に入り込んで写真を撮ってきたのならば「潜入取材」でしょう。でも、誌面を見る限りではこっそり写真を撮っているとは思えません。本当に「潜入取材」だったのですか。

写真とその解説も栃木工場の工程を見せているだけで、「カレー作りのヒミツ」を探っているとは思えませんでした。そもそも「あくまで『家庭用カレーの大型版』(栃木工場の青木義宏工場長)にすぎない」のであれば、これほど大掛かりに工程を紹介する意義は乏しいでしょう。


※色々と注文を付けたが、全体として大きな問題はないので記事の評価はC(平均的)とする。暫定でD(問題あり)としていた常盤有未記者の評価は暫定Cへ引き上げる。常盤記者には「もっと批判精神を持って記事を書いてほしい」と以前に助言した。今回の記事にも批判精神はあまり感じられないが、以前のような過剰なヨイショも見られない。その点で一歩前進と言える。常盤記者に関しては「ヨイショが過ぎる東洋経済『アシックス 知られざる改革』」も参照してほしい。

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