2016年1月16日土曜日

空売りは「入れる」もの? 日経の記事で岩切清司記者に問う

「買い」は「入れる」もので「売り」は「出す」ものだと思ってきた。なぜかと言えば「そう教えられたから」としか言いようがないが、「買い入れ」「売り出し」という言葉から考えても妥当な判断だろう。ところが、15日の日本経済新聞夕刊マーケット・投資面にNQNニューヨークの岩切清司記者が書いた「ウォール街ラウンドアップ~『運用のプロ』にも及ぶ売り連鎖」という記事では「空売りを入れた」となっていた。問題のくだりを見てみよう。

三隈川(筑後川)沿いの「ひなの里 山陽館」(大分県日田市)
           ※写真と本文は無関係です
【日経の記事】

15日の米ダウ工業株30種平均は大幅反落し、約4カ月半ぶりの安値を付けた。相場の先行きに対する警戒サインが点滅し始めたことを嫌気し、売りの連鎖は「運用のプロ」にまで及んだ。

「機関投資家は米株の持ち高を急いで減らし、ヘッジファンドがそれに乗じて空売りを入れた」(ウェドブッシュ証券のマイケル・ジェームズ氏)。投資家が一斉に売りを出したきっかけは経済指標の悪化だ。

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投資家が一斉に売りを出した」とも書いているので、岩切記者としても常に「売りを入れる」と表現するわけではなさそうだ。「空売り」だと「入れる」にしたくなる気持ちも分からないではない。「空売りを出す」ではしっくり来ない感じがするのだろう。上記の場合、「ヘッジファンドがそれに乗じて空売りを仕掛けた」とするの正解だと思える。

ついでにもう1つ、言葉の使い方で注文を付けておこう。

【日経の記事】

しかし、ここにきて安値を更新する現実味が増すと「相場の底割れを意識する関係者が増えた」(証券会社のトレーダー)。米市場は週末に3連休を控える。連休中に何が起こるかわからない不安感が投資家を持ち高整理へと押しやった。

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週末に3連休」という表現が引っかかる。この3連休は16日(土)、17日(日)、18日(月)が休みになるものだ。これを「米市場は週末に3連休を控える」と言えるだろうか。仮に日曜を「週末」に含めるとしても、月曜は明らかに週末ではない。「米市場は週末から3連休となる」ならば問題はないのだが…。

同じ面の商品概況(筆者は不明)でも「15日のシカゴ穀物市場でトウモロコシと小麦が上げた。今週末の3連休を前に、ファンドが利益確定のための売り持ち解消の買いを入れた」と書いている。これもやはり「月曜は週末なの?」との疑問が湧く。


※細かい注文を付けたが、記事の内容に大きな問題はない。記事の評価はC(平均的)とする。岩切清司記者への評価はD(問題あり)を据え置くが、引き上げの方向で注視していく。岩切記者に関しては「岩切清司記者の安易さ目立つ日経『ウォール街ラウンドアップ』」も参照してほしい。

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