2016年1月17日日曜日

円はドルより「安全」?日経 松崎雄典記者の1面解説記事

円とドルはどちらが「安全」だろうか。常識的に考えれば、ソブリン格付けでも上回る「基軸通貨ドル」の方が安全なはずだ。しかし、日本経済新聞証券部の松崎雄典記者は「円の方が安全」と考えているのだろう。17日の日本経済新聞朝刊1面の「市場の動揺収まらず ~中国不安や原油安が共振  米景気へ波及懸念も」という記事の中で以下のように書いている。
吉野ヶ里歴史公園(佐賀県吉野ヶ里町)
          ※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

投資家の不安心理を示す「VIX指数」は15日に3カ月半ぶりの水準にまで上昇。投資マネーは「安全資産」に殺到し、円相場は1ドル=116円台半ばまで上昇した。市場が不安から脱する道筋はなお見えない。

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上記の説明が成立するためには「ドルで持っておくより円の方が安全」という前提が要る。「絶対に違う」とは言わない。ただ、松崎記者が本当にそう思っているのならば、簡単でもいいので理由を説明してほしかった。

リスクオフの局面で円が買われやすいのは事実だろう。しかし、「円の方がドルより安全だからリスクオフの局面で買われやすい」と説明するのは無理がある。円がドルに対して買われた理由は安全性以外のところにあるはずだ。

この手の解説は日経に限った話ではない。例えば朝日新聞ニューヨーク支局の畑中徹記者も16日の記事で「15日のニューヨーク外国為替市場は、比較的安全な資産とみられている円を買ってドルを売る流れが強まり、円相場は一時、1ドル=116円51銭まで値上がりした」と書いている。これに対しても「ドルの方が『比較的安全』なのでは?」とツッコミを入れたくなる。


※他に大きな問題はなかったので、日経の記事への評価はC(平均的)とする。松崎雄典記者への評価はD(問題あり)を据え置く。

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