2016年1月30日土曜日

説明が不正確かつ不十分 日経1面「背水のマイナス金利」

日銀がマイナス金利政策に踏み出したのを受けて、30日の日本経済新聞朝刊は関連記事が各面にあふれた。しかし、マイナス金利の適用部分に関する説明には不満が残った。1面の「背水のマイナス金利 日銀、異次元緩和を強化 総裁『必要なら追加措置』」というトップ記事を見てみる。

【日経の記事】
水天宮(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です

黒田総裁は「従来の量的・質的金融緩和に金利という選択肢も追加し、金融緩和を進める」と強調した。銀行が当座預金に預けるお金のうち、2月16日から新たに預ける分にマイナス0.1%の金利を付ける。マイナス金利ではお金を預ける方が金利を支払うことになり、銀行が日銀にお金を預けると預金が減る。

中略)ただ一方で、マイナス金利には副作用もある。金利の大幅低下で銀行の収益力が落ち、中小企業向け融資などが抑えられる恐れがあることだ。日銀は銀行収益への配慮で当座預金残高を3つに分け、既に預けている分は従来通り0.1%のプラス金利を付ける

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日銀は銀行収益への配慮で当座預金残高を3つに分け」と書いてあると、3つの分類が気になる。しかし、この記事の中に答えはない。仕掛けには「日銀当座預金を3分割してプラス・ゼロ・マイナス金利を適用」と出ているものの、ゼロとマイナスをどうやって分けるのかは1面の記事では分からない。

政治面の「政策決定の内容」まで辿り着くと「3分割」の基準が分かる。「詳細を1面で解説しろ」とは言わないが、マイナスとゼロをどう使い分けるのかは1面でも触れてほしかった。

1面の記事では「2月16日から新たに預ける分にマイナス0.1%の金利を付ける」と書いている。これだと「2月16日から新たに預ける分」は全てマイナス金利になると解釈したくなる。しかし、ゼロ金利部分も増えていくようなので、正確には「2月16日から新たに預ける分の一部」にマイナス金利を適用するのだろう。だとすると、1面の記事は説明が不正確かつ不十分だ。

マイナス金利の副作用に関する説明も腑に落ちない。「金利の大幅低下で銀行の収益力が落ち、中小企業向け融資などが抑えられる恐れがあることだ」と書いているが、超低金利下で「金利の大幅な低下」が起きる余地はあるのか。「大幅」の基準は人それぞれなので、何とでも弁明はできるだろう。ただ、マイナス金利政策のインパクトを過大に伝えている印象は否めない。


※記事の評価はC(平均的)。

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