2016年1月26日火曜日

「ドル円の名目実効為替レート」? 週刊ダイヤモンドの誤りか

週刊ダイヤモンド1月30日号の緊急特集「株・原油・為替…相場総崩れの真相」の中に「名目実効為替レートで見てもドル円は15年6月を底に反転」という謎の記述があった。ダイヤモンド編集部に間違い指摘をしたが、丸1日経っても回答はない。これまでのパターンでいけば黙殺だろう。記事を担当した大坪雅子記者、竹田孝洋副編集長、前田剛副編集長には、メディアとしての適切な対応を期待したい。

問い合わせの内容は以下の通り。
「とんこつラーメン発祥の地」のモニュメント(福岡県久留米市)
               ※写真と本文は無関係です

【ダイヤモンドへの問い合わせ】

週刊ダイヤモンド1月30日号の14ページの記事についてお尋ねします。記事では「名目実効為替レートで見てもドル円は15年6月を底に反転しており、円高トレンドが続いていることが分かる」と解説しています。しかし12ページの記事にもあるように「名目実効為替レート」とは複数の通貨に対する為替相場を貿易量で加重平均したものです。なので「名目実効為替レートで見てもドル円は~」では意味が通じません。「円」の名目実効為替レートは2015年6月を底に上昇へ転じているようなので、記事中の「ドル円」を「円」に直せば問題は解消しそうです。「ドル円の名目実効為替レート=ドルの名目実効為替レート&円の名目実効為替レート」という可能性も検討しましたが、解釈として無理がありますし、文脈とも合致しません。

記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいとすれば、その根拠も教えてください。御誌では読者からの間違い指摘に回答しない対応が常態化しています。メディアとして責任ある対応をお願いします。

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単純なミスなので、誤りを認めて「今後は気を付けます」などと回答すれば済む話だと思うのだが…(「間違いではない」との回答でももちろん構わない)。やはりダイヤモンド編集部の不要なプライドが障壁になっているのだろう。

上記のくだりを除けば、記事自体に大きな問題はない。しかし、積極的に評価できる要素も見当たらない。分析としては特に目新しい部分がなく、これまでの流れのおさらいといった内容になっている。

分析記事は結論部分が大切だ。それによって、筆者が何を訴えたかったのか分かる。ところが、今回の特集の中にある「日本経済はどうなる?~ 円高・株安続けば景気腰折れ 1月末の追加緩和はあるか?」という記事の結論はほとんど意味がない。訴えたい何かがないのに記事を書いているから、こうなるのだろう。

【ダイヤモンドの記事】

円高・株安がさらに進み、春闘の賃上げが不十分に終われば、消費マインドが冷え込んで景気が腰折れするリスクは高まるだろう。

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これを読むと「それはそうでしょうね。わざわざ言われなくても分かってますよ」と返したくなる。「こんな結論を導くために、あれこれ言葉をつないできたのか」と筆者には問いたい。

例えば「販売不振が深刻になって業績が一段と悪化すれば、株価下落のリスクはさらに高まるだろう」とか「攻撃陣の得点力不足が続いて、守備陣の連携もうまくいかなければ、予選敗退の可能性は高まるだろう」といった説明に意味を感じるだろうか。「そんな当たり前すぎる話をされても…」と思うのが自然だ。


※記事の評価はD(問題あり)。大坪雅子記者の評価はDを据え置く。竹田孝洋副編集長、前田剛副編集長は暫定でDとする。回答も訂正もなしの場合は3人をF(根本的な欠陥あり)とする方向で検討したい。

追記)結局、回答はなかった。

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