2016年1月10日日曜日

日経ビジネス 小田嶋隆氏の「夫婦別姓」容認論に一言

日経ビジネス1月11日号でコラムニストの小田嶋隆氏が選択的夫婦別姓を賛成の立場から論じていた。「この問題で問われているのは、同姓か別姓かではなく一律か自由かだ」と同氏は訴える。「間違っている」とは言わない。ただ、「ならば、なぜ別姓に限って自由を認めるのか」との疑問が残る。記事には「ケチャップで食べる自由」という見出しが付いている。この例えで言えば「なぜケチャップ限定の自由なのか」ということだ。
谷津干潟(千葉県習志野市) ※写真と本文は無関係です

まずは「小田嶋隆の『pie in the sky』~絵に描いた餅ベーション」というコラムの一部を見てみよう。

【日経ビジネスの記事】

何を言いたいのかというと、問われているのは、「同姓か別姓か」ではなくて、「一律か自由か」だ、ということだ

たとえばの話、蕎麦は蕎麦つゆで食べる人が多数派なのだろうし、そのこと自体はこれからも変わらないはずだ。が、ケッチャップで食べたい人がいるのなら、勝手に食えばよい。と、少なくとも私はそう考えている。そして、わが国の法律は、ケッチャップで蕎麦を食べることを禁止していない。

ところが、結婚となると、法律は、夫婦別姓の選択を禁じている。

これまで通りに、蕎麦つゆで蕎麦を食べたい人たちの選択を妨げようというのではない。ケチャップで蕎麦を食べたい人の食べ方を許容しようではないかというだけの話だ。

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選択的夫婦別姓は現行制度よりは自由だろうが、「一律か自由か」で言えば「一律」に近いと感じる。「結婚後に夫か妻の姓しか選べない」という点では明らかに一律だ。本当に「自由」ならば、鈴木さんと佐藤さんが結婚して2人とも山田さんになってもいいはずだ。結婚に関係なくいつでも姓を変えるという「自由」も考えられる。

ケチャップで蕎麦を食べたい人の食べ方を許容しようではないか」という主張の延長線上には、マヨネーズもウスターソースも認めるのかという問題が横たわる。理屈としては「何でもあり」が最も通りがいい。「ケチャップは認めるが、マヨネーズはやり過ぎだ」では辻褄が合わない。

では、本当に「自由」がベストな選択なのか。個人的には「多くの人がそう望むならば声高に反対する気はないが、色々と面倒くさそうだな」とは思う。「姓に関しては完全に自由。姓なしでもいいし、新規に姓を作り出してもいい。使える漢字に制限はなく、外国語表記でも問題なし。結婚に限らず好きなタイミングで何回変えてもいい」という案を支持する人は稀だろう。

結局、この問題は「社会の好み次第」としか言いようがない。選択的夫婦別姓への支持が多ければ、そちらを選択すべきだろうし、少なければ止めた方がいい。「海外はこうだから」といった主張にも説得力は感じない。日本には日本のやり方があっていい。そして、「一律か自由か」の選択でもないような気がする。


※記事の評価はB(優れている)。小田嶋隆氏への評価はA(非常に優れている)を維持する。

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