北海に面したスヘフェニンヘン(オランダ)に建つクルハウス ※写真と本文は無関係です |
【日経の記事】
インターネット上に出回るある中国経済に関する論評が、市場関係者に衝撃を与えている。「今年上半期の真の実質経済成長率は5%」。中国政府の統計では同じ時期の成長率は今年の政府目標と同じ「7%」に踏みとどまったが、論評は「経済は悪い」と断じる。
筆者として記されているのは中国大手、国泰君安証券アナリストの任沢平氏。政府直属の国務院発展研究センターに在籍した経歴をもつ人物だ。仮に5%成長が本当なら、職を失う人が出て社会不安が起きてもおかしくない。中国では「失速」と呼んでいい水準だ。
中国の統計数字が当てにならないのは、専門家でなくても知っている「常識」だ。日経もその問題を記事で取り上げてきた。「7%」という上半期の成長率についても「実際にはもっと悪いのではないか」との見方は多い。なのに、「実は5%」で市場関係者に衝撃を与えられるだろうか。
例えば、8月6日付のロイターの記事では以下のように述べている。
【ロイターの記事】
ロンドンに拠点を構える独立系調査会社ファゾム・コンサルティングのエリック・ブリトン氏は「中国の公式統計はファンタジーだと考えており、真実に近いということもない」と話す。
同社は昨年、公式GDPの予想を公表するのをやめ、実際の成長率とみなす数値を公表することを決めた。それによると、今年の中国成長率は2.8%、2016年はわずか1.0%にとどまると予想している。
中国の成長率が今年は3%を切るとすれば、そこそこの「衝撃」だ。しかし、日経の紹介した「論評」に衝撃は感じない。今頃になって「今年上半期の真の実質経済成長率は5%」と言われて、驚く市場関係者が本当にいるのか。いるとすれば、その人物はかなり情報に疎いはずだ。
日経の記事に関してついでに言うと、「仮に5%成長が本当なら、職を失う人が出て社会不安が起きてもおかしくない」との説明はやや引っかかる。7%成長ならば中国では「職を失う人」が出ないのだろうか。言いたいことは何となく分かるが、記事中で上手く説明できているとは言い難い。
※記事の評価はC(平均的)、北京支局の大越匡洋記者への評価も暫定でCとする。
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