この記事に関しては、日経に2件の問い合わせをした。記事の当該部分と問い合わせ内容を見ていこう。
デンハーグ(オランダ)のホフファイファ池 ※写真と本文は無関係です |
【日経の記事】
戦後をふりかえってみてもそうだ。現在との対話であらわれてくる過去には3つの変数がある。歴史摩擦の値はその関数で決まってきた。
第1は安全保障である。共通の敵があれば摩擦は小さくなる。日中国交正常化の背景には中ソ対立があった。日韓をつないでいたのも米ソ冷戦だった。北朝鮮の脅威の大小が日韓関係に影響を及ぼす。
第2は経済である。日本経済が圧倒的に優位だった1980年代までは中韓両国とも協力をあおいだ。今や名目GDP(国内総生産)で中国に抜かれた。日本の比較優位は失われた。
第3は人である。首脳間の信頼関係を含めた人的なつながりだ。中曽根康弘首相と各国首脳との関係などを思いおこせばいい。摩擦をふせぎ、問題をおさめるネットワークの存在も大きかった。
戦後70年、摩擦の関数はおそらく最大値を示している。
安倍談話をきっかけに、これから摩擦関数の値を小さくしていくにはどうしたらいいのか。安全保障が望み薄なうえは経済だ。アベノミクスで日本経済を立て直し、国力を高めていくのが結局、一番の近道だろう。
【問い合わせ(1)】
記事中で芹川洋一論説委員長は「歴史摩擦の値はその関数で決まってきた」「戦後70年、摩擦の関数はおそらく最大値を示している」「これから摩擦関数の値を小さくしていくにはどうしたらいいのか」などと書かれています。しかし「摩擦関数」とは聞き慣れない言葉です。調べてみても、どういう数値なのか分かりませんでした。「摩擦関数」は「摩擦係数」の誤りではありませんか。これなら意味も明確です。「摩擦関数」で正しいとの判断であれば、その根拠を教えてください。
【問い合わせ(2)】
記事では「日本経済が圧倒的に優位だった1980年代までは中韓両国とも協力をあおいだ。今や名目GDP(国内総生産)で中国に抜かれた。日本の比較優位は失われた」と書かれています。この「比較優位」の使い方は正しいのでしょうか。特定の財・サービスを生み出すための機会費用が中韓を下回る状況を指して「日本は中韓に対して比較優位がある」と考えるはずです。記事からは「名目GDPで中国に抜かれると、中国に対する比較優位を失ってしまう」と受け取れます。しかし、「名目GDPの総額で上回っていれば比較優位を保てる」といった関係はないはずです。経済学的な意味で「比較優位」を用いているわけではないとの可能性も考慮しましたが、無理があります。言葉の使い方として問題がないとの判断であれば、その根拠も教えてください。
※通例に従えば、日経から回答は届かないだろう。(2)でさらに指摘を続ける。
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