2015年8月31日月曜日

「株価連動政権」? 日経 芹川洋一論説委員長の誤解

日経の芹川 洋一論説委員長の記事が、またも苦しい。31日の日経朝刊オピニオン面に掲載された「核心~経済が首相を呼んでいる  中道寄り、支持回復の道」では、安倍政権を「株価連動政権」と分析しているが、現実とかけ離れている。記事に付いている「安倍内閣の支持率と株価」というグラフを見ても、それは明らかだ。芹川論説委員長はこのグラフを見て「株価が上昇局面で支持率が上向き、株価が落ちれば支持率も下降線をえがいた」と思えたのだろうか。だとすれば、書き手としては引退すべき時期を迎えていると思える。

記事では以下のように説明している。

【日経の記事】
リエージュ(ベルギー)の中心部に近いギユマン駅
                 ※写真と本文は無関係です

支持率の動向で忘れてならないのは、2012年12月の政権発足から14年夏まで、株価と動きが同じ株価連動政権だったことだ。株価が上昇局面で支持率が上向き、株価が落ちれば支持率も下降線をえがいた。

2度、違う動きもあった。13年末の特定秘密保護法と14年7月の集団的自衛権容認のときだ。逆にふれた。株価はあがっているのに、支持率はおちた。今年に入って、ワニの口のように大きく開いている。


グラフを見る限り、政権発足から14年夏までの大まかな推移は「株価が上昇基調で、支持率が低下基調」と言える。つまり「株価が落ちれば支持率も下降線をえがいた」のではなく、「株価が上昇基調だったのに支持率は下降線を辿った」わけだ。

芹川論説委員長は「2012年12月の政権発足から14年夏まで」で13年末と14年7月を例外と捉え、「株価はあがっているのに、支持率はおちた」と解説している。しかし、株価と支持率に正の相関が感じられるのは政権発足当初ぐらいだ。

しかも、今年の途中からは株価と支持率が逆相関の関係になっている。ちょっと前までは「株高で支持率低下」、直近では「株安で支持率上昇」だ。「14年夏まで」に絞ってもあまり正の相関が見られず、現在までで考えると逆相関と言った方がよさそうなのに、「株価連動政権だったこと」を「支持率の動向で忘れてならない」と訴えて意味があるのか。

問題は他にもある。記事で芹川論説委員長は首相に謙虚さや丁寧さを求めている。では自らを省みてどうなのか。以下の記述を見る限り、芹川論説委員長にも謙虚さや丁寧さが欠けていると言うほかない。


【日経の記事】

内閣の大きな政治的資源である支持率。その足をひっぱったのが、党内若手や首相側近の失言や問題発言であるのも否定できない。おごりや傲慢さが顔を出し、自民党に対する「嫌な感じ」(石破茂地方創生相)が広がった。首相への功名心と忖度(そんたく)による「功名が辻の脱線事故」でもある。

謙虚さをみせることが何より大事だ。維新の分裂騒ぎで先行きが読みにくくなっているものの、安保法案の修正協議など野党と丁寧に進め、合意形成への努力を示す必要がある。


功名が辻の脱線事故」と言われても、大河ドラマや小説を通じて「功名が辻」の内容を知っている人以外にはピンと来ないはずだ。慣用句として広く使われているわけでもない。「日経の読者ならば『功名が辻の脱線事故』で分かってくれるだろう」という前提で記事を作っているとすれば、やはり丁寧さが足りない。「維新の分裂騒ぎ」との表記も同様だ。初出なのに、なぜ「維新の党」と書かないのか。日経の他の記事では、基本的に初出では「維新の党」と表記しているはずだ。

論説委員長であれば、「功名が辻の脱線事故」でも、初出から「維新」でも、社内で文句は出ないかもしれない。それに甘えて完成度の低い記事を世に送り出しているのであれば、芹川論説委員長はやはり「裸の王様」だ。


※記事の評価はD(問題あり)、芹川洋一論説委員長の評価はE(大いに問題あり)を据え置く。芹川論説委員長のE評価については「日経 芹川洋一論説委員長 『言論の自由』を尊重?」を参照してほしい。

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