アントワープ市街とスヘルデ川 ※写真と本文は無関係です |
「プロが選ぶベストホテル」という見出しは正しくない。記事中に出てくるように「ホテル通たちが選ぶベストホテル」に過ぎない。選者33人の顔ぶれを見ると「エレクトーン奏者」「デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー統括パートナー」といった人もいる。こういう人を「ホテルに関するプロ」と呼ぶのは無理がある。
◎誰もがサプライズ大好き?
【ダイヤモンドの記事】
先月、ザ・ブセナテラスのレストランで、30代のカップルが食事をしていたときのことだった。
スタッフが二人をテラス席に誘導すると、そこにはキャンドルがともされ、ムードたっぷりの雰囲気が広がっていた。しばらくすると、今度は小さなウエディングケーキが運ばれてきたのだ。
実はこのケーキ、二人が「結婚式は挙げられなかったけど、ハネムーンが挙式代わりだね」と話していたのを耳にした20代のスタッフが、周囲に呼び掛け急いで準備したものだった。
「開業から18年が経過し、お客さまに喜んでもらおうという考えが徹底した。しかも現場レベルで判断、すぐさま実行に移せるまでにスタッフたちが成長。最高のサービスを提供できるようになったことが評価されているのではないか」と、ザ・ブセナテラスの新垣瞳副支配人は顔をほころばせる。
ザ・ブセナテラスのレストランでのサービスを賞賛しているのが納得できなかった。自分だったら「お願いだから、余計なことはやめてくれ」と思うだろう。万人がサプライズ好きだとの前提で押し付けてくるサービスは、そんなに素晴らしいのだろうか。「ハネムーンが挙式代わりだね」とカップルが話していたのをスタッフが耳にしてケーキを持ってきたらしいが、「こっそり聞いていたのか」思うとあまりいい気にはなれない。これを「最高のサービス」と考えるホテルならば、利用はしたくない。
◎読者は首都圏限定?
【ダイヤモンドの記事】
ランキング上位には、サンカラ ホテル&スパ屋久島(鹿児島県)やザ シギラ(沖縄県)、はいむるぶし(同)など、南国のホテルが顔をそろえるが少々距離が遠い。近場でランクインしたのは、ハイアット リージェンシー 箱根 リゾート&スパ(神奈川県)だ。
鹿児島や沖縄は「距離が遠い」のに、神奈川ならば「近場」ということは、東京からの目線で記事を書いているのだろう。首都圏の読者しか想定していないのならば、それでもいい。しかし、実際には全国の書店で雑誌を売っているはずだ。九州の読者にとっては、箱根の方が屋久島よりも「近場」だとは言い難い。雑誌を作る上では「読者は全国にいる」ということを忘れないでほしい。
◎「私が温泉に目覚めたのは中学生」?
「自遊人」編集長の岩佐十良氏が書いた「覆面で泊まり歩いた男が薦める最強の宿」というコラムは冒頭で引っかかった。記事は「私が温泉に目覚めたのは中学生。全国を一人旅していたころから始まりました」との書き出しで始まる。しかし「私が温泉に目覚めたのは中学生」では変だ。「私が温泉に目覚めたのは中学生の時。全国を一人旅していたころだ」などとすべきだろう。
◎「オーベルジュ」は説明不要?
【ダイヤモンドの記事】
そんな中で、本当のオーベルジュとして2007年に誕生したのが、静岡・天城湯ヶ島温泉のアルカナイズでした。設計は極めて特殊で客室とレストランしかない。料理のクオリティは、ミシュランガイドがもし伊豆をカバーしていたならば確実に星が付くであろうという高いレベルです。
最後に1軒。今、最も注目しているのが山梨・小淵沢にこの夏オープンする紬山荘です。
料理を担当するのはシンガポールの高級レストラン「WAKU GHIN」でスーシェフ(副料理長)をしていた清水一彦さん。サービスは都心のホテルで経験を積んだ仲村卓さん。昼は手打ち蕎麦、夜はフレンチレストランとして営業していたのですが、宿泊部門がいよいよオープンします。まさしく、オーベルジュ新時代の到来です。
これも岩佐十良氏のコラム。説明なしに「オーベルジュ」が出てくるのが気になった。「オーベルジュ」とはダイヤモンドの読者ならば誰でも知っているような言葉だろうか。岩佐氏が編集長を務める「自遊人」の読者には自明の言葉なのだろうが…。
※広告っぽい作りは好みではないが、好き嫌いの問題とも言えるのでマイナス評価の材料にはしない。特集全体の評価はC(平均的)とする。臼井真粧美、須賀彩子、柳澤里佳、大根田康介の各記者の評価も暫定でCとし、田島靖久副編集長はF(致命的な欠陥あり)を維持する。田島副編集長の評価については「週刊ダイヤモンドを格下げ 櫻井よしこ氏 再訂正問題で」を参照してほしい。
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