◎先物市場ではなぜダメ?
【日経の記事】
ユトレヒト(オランダ)の中心部 ※写真と本文は無関係です |
コメの価格が市場原理で決まらないのは、需給を反映した指標となる現物市場がなく、政治が介入するからだ。全米販は7月1日に地域農協や生産者も参加する新たな取引市場を開設し、価格の発信を狙う。全農も市場の活用に前向きだ。誰もが納得できる価格形成の場が必要で、それができなければコメ離れが加速する可能性がある。
大阪堂島商品取引所はコメを試験上場している。売買高は低迷しているようだが、なぜこれではダメなのか解説してほしかった。コメ先物市場で形成される価格は、常識的に考えれば「需給を反映」しているはずだ。実態は需給を反映しているとは言い難いのであれば、その辺りに触れてほしい。売買高が少ないということは、市場を通じた取引のニーズがあまりないとも解釈できる。なのに新たな取引市場を開設しようとしているのはなぜなのか。その辺りがスッキリしなかった。
◎市場原理でほぼ決まっているのでは?
【日経の記事】
実際に全農が12年産を値上げした時は、中食や外食企業がコメの使用量を減らした。需要家や卸が全農を通さず、生産者との直接取引を模索するきっかけにもなった。農水省の研究会の示す手法で卸向け価格を決めるのは、流通実態からみて無理があった。
「コメの価格が市場原理で決まらない」と筆者の田上一平記者は断定しているが、記事からは「おおむね市場原理に基づいて決まっているのでは?」との印象を受けた。「自民党の圧力を受けて全農がコメの定価を引き上げた」と記事では書いている。一方で「定価」と「実売価格」は異なる点にも言及している。定価は政治圧力に左右されるとしても、実売価格で市場の実態に合った価格に調整しているのが現実ではないのか。
記事では「コメは年間流通量約600万トンの5割を全農が扱う」とも書いている。裏返せば5割は全農以外ということだ。市況を無視して価格を設定できるほどのシェアは全農にはない。全農以外の5割に政治圧力が及ばないのであれば、「コメの価格はおおむね市場原理に基づいて決まっている」と考える方が自然だ。そもそも筆者も「農水省の研究会の示す手法で卸向け価格を決めるのは、流通実態からみて無理があった」と書いている。
※記事の評価はC(平均的)。日経の中では完成度の高い記事だと思えた。田上一平記者への評価も暫定でCとする。
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