2015年7月5日日曜日

記事は簡潔に 日経「中国株、底値見えず」(1)

記事は簡潔に書くのが原則だ。ここでは4日の日経朝刊国際2面の記事「中国株、底値見えず 3日続落 大半個人、弱気に雪崩」 を題材として取り上げる。この記事で目立つのは「無駄な繰り返し」。記事は以下のような構成になっている。


【日経の記事】
アムステルダム(オランダ)の運河 ※写真と本文は無関係です

【上海=小高航】下落が続く中国・上海株に反転の兆しがみられない。3日の上海総合指数は3日続落し、前日比6%近くも値を下げた。直近のピークから3週間で3割下落した。上海市場は売買の6~8割を個人が占め、機関投資家の比率が極めて小さい。こうした未熟な構造が、いったん投資家の不安心理が高まると下落に歯止めがきかない状況を招いた。

上海総合指数は前日比5.77%安の3686で引けた。過去3日間で約14%下落した。3日は深圳総合指数も下落。両市場に上場する約2800社のうち、半数の1400社が制限値幅の下限(ストップ安水準)まで下落した。

証券監督管理委員会の張暁軍報道官は2日夜、記者会見で「違法な株価操作の調査に乗り出す」と述べた。相場誘導を狙った空売り取引などを厳しく取り締まる立場だ。大幅な値崩れでパニックに陥っている投資家の不安を和らげる狙いだ。

中国の株式市場の特徴は、年金基金や生命保険会社といった機関投資家の存在感が極めて小さい点にある。日本の場合は国内外の機関投資家の比率は過半を超えるとされる。機関投資家は緻密な分析に基づいて安定的な運用を図るため株価の乱高下が起きにくい。

一方、中国は個人の比率が6~8割に達する。市場のリスクを理解しないまま不十分な情報に基づき売買する投資家も多い。こうした投資家は一時的な株価の変動や噂に振り回される傾向が強い。相場が一方向に触れやすい構造だ。


◎繰り返しを避けよう ~その1

上海市場は売買の6~8割を個人が占め、機関投資家の比率が極めて小さい」と書いた後で「中国の株式市場の特徴は、年金基金や生命保険会社といった機関投資家の存在感が極めて小さい点にある」「中国は個人の比率が6~8割に達する」と同じような内容を繰り返している。「前日比6%近くも値を下げた」と「上海総合指数は前日比5.77%安の3686で引けた」もダブり感が強い。

「個人が6~8割」は1回で十分。「機関投資家の比率が極めて小さい」を繰り返すのならば、比率がどの程度なのかを読者としては教えてほしい。


◎繰り返しを避けよう ~その2

同一段落で「下落した」「下落」「下落した」と繰り返しているのは稚拙だ。改善例を示しておく。

日経)上海総合指数は前日比5.77%安の3686で引けた。過去3日間で約14%下落した。3日は深圳総合指数も下落。両市場に上場する約2800社のうち、半数の1400社が制限値幅の下限(ストップ安水準)まで下落した

改善例)上海総合指数は前日比5.77%安の3686で引けた。過去3日間で約14%の下落。3日は深圳総合指数も下げた。両市場に上場する約2800社のうち、半数の1400社が制限値幅の下限(ストップ安水準)まで売られた。


※(2)でも記事の書き方に注文を付けていく。

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