2023年12月26日火曜日

親子上場は「日本特有の形態」? 日経 大西康平記者の誤解

記事中の誤りと見られる記述について久しぶりに日本経済新聞社へ問い合わせてみた。

宮島連絡船

日経への問い合わせ】

日本経済新聞社 欧州総局 大西康平様

26日朝刊投資情報面に載った「一目均衡~『親子解消』に欧州マネー」という記事についてお尋ねします。「親子上場」に関して「日本特有の形態で少数株主利益が損なわれるとの批判が根強く、近年、親会社のTOB(株式公開買い付け)による完全子会社化が増えている」と大西様は説明しています。これが正しいならば海外に「親子上場」はないはずです。

しかし2019年11月5日号の週刊エコノミストの記事で一橋大学特任教授の藤田勉氏は「日本ほど活発でないが、親子上場は大陸欧州や南米を中心に海外でも広く存在する。海外の証券取引所で、親子上場を禁止している例はない」と述べており、大西様の説明と食い違います。

例えば日経は23年9月27日付で「アリババ、物流子会社を上場申請 香港で、過半保有は継続」と報じています。22年9月15日付では「テンセント音楽子会社、香港で重複上場へ」という日経の記事もあります。「ニューヨーク証券取引所(NYSE)との重複上場になる」との記述から判断するとNYSEも含めての「親子上場」と言えます。

大西様が「親子上場」を「日本特有の形態」と断定したのは誤りではありませんか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。日経では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある対応をお願いします。


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問い合わせは以上。回答はないだろう。

※今回取り上げた記事「一目均衡~『親子解消』に欧州マネー」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20231226&ng=DGKKZO77255610V21C23A2DTA000


※記事の評価はD(問題あり)