2015年7月15日水曜日

エコノミスト「東芝の闇」 読み応えあったが…

週刊エコノミスト7月21日号の特集「東芝の闇」は読み応えがあった。東芝の利益かさ上げ問題が発覚してから様々な記事に目を通してきた中で、最も出来が良かった。巨額の赤字を計上したリーマンショック直後まで遡って、東芝が今回の事態に至る要因を丁寧に分析していた。

ただ、サークルクロスコーポレーション主席アナリストの若林秀樹氏が書いた「アナリストの視点~リストラ事業の空白が生んだ電力と半導体事業の深淵」は残念だった。具体的には以下の記述だ。

デュルブイ(ベルギー)の断崖絶壁 ※写真と本文は無関係です
【エコノミストの記事】

事件の関心はその影響額から、不適切会計の原因、責任問題と処分の有無、さらにトップ人事も含めた新体制がどうなるかに移っている。オリンパスの損失隠し事件のような組織ぐるみの粉飾はなさそうだが、一定のケジメが必要かもしれない。


「東芝の田中久雄社長と前社長の佐々木則夫副会長が社員に対して利益の水増しなどを促す指示をしていた」との報道が出たのが7月10日前後なので、その時点で記事の修正は不可能だったのだろう。とは言え「組織ぐるみの粉飾はなさそう」と結論付けたのは、やはり問題だ。

組織ぐるみの粉飾があったとも断定できる状況ではないが、その疑いは否定できない。「組織ぐるみの粉飾はなさそう」とリスクを取って書くのは少し早かったか。現時点で読むと「筆者も今頃、分析が甘かったと思ってるんだろうな」と推測してしまう。

※特集全体の評価はB(優れている)。若林秀樹氏の評価はC(平均的)とする。

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