2017年3月30日木曜日

「英米」に関する日経 大林尚欧州総局長の不可解な説明

日本経済新聞の大林尚欧州総局長が書き手としての資質に欠けるのは分かっている。それにしても30日の朝刊国際1面に載った「新局面迎えたグローバル化」という記事は苦しい。冒頭の説明があまりに不可解だ。
耳納連山と菜の花畑(福岡県久留米市)
          ※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

日本で目にする世界地図は大西洋が左右両端に分断され、英米の親密な間柄に気づきにくい。ほかの2国間にはみられない特別な関係を深めているにもかかわらずだ。

◇   ◇   ◇

裏を返すと「大西洋を挟んで英米が向き合う地図を見れば、『英米の親密な間柄』に気付きやすい」と大林氏は言いたいのだろう。だが、なぜ地図を見ただけで気付けるのか。大西洋が分断されない地図で英米の距離的な近さ(実際には大して近くないが…)を実感できたとしても、「近い=親密」とはならない。日韓、日中は英米よりはるかに近いものの、「英米以上に親密」とは言い難い。インドとパキスタン、ロシアとウクライナなどは陸続きだが、「親密」どころか対立関係にある。

ついでに言うと「伏兵」の使い方も気になった。

【日経の記事】

むろん強気一辺倒ではいられない。伏兵はスコットランドで人気を博すスタージョン行政府首相。EU残留を訴え、英国からの独立の是非を問う住民投票をメイ氏に突きつけた。

◇   ◇   ◇

伏兵」とは「1 敵の不意を襲うために待ち伏せしている軍勢。2 予期しないときに現れ、たちはだかる人物や障害」(デジタル大辞泉)という意味だ。大林氏は2の意味で「伏兵」を使っているのだろう。
皇居の桜(東京都千代田区)※写真と本文は無関係です

スコットランドでの住民投票の動きが「予期しないときに現れ」たのならば、「スタージョン行政府首相」を「伏兵」と呼んでもいいのだろう。しかし、スコットランドで独立を目指す動きが再び活発になることは、EU離脱が決まった昨年の時点で予測できていた。大林氏は知らなかったかもしれないが、常識的に考えると「伏兵」が現れたとは見なしにくい。

大林氏には「欧州総局長」という立派な肩書があるのだから、管理職としての業務に徹して、記事の執筆はそろそろ後輩に任せてはどうだろうか。その方が読者にとっても大林氏にとっても有益だと思える。

※今回取り上げた記事「新局面迎えたグローバル化

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170330&ng=DGKKZO14682120Q7A330C1FF1000


※記事の評価はD(問題あり)。大林尚欧州総局長への評価はF(根本的な欠陥あり)を維持する。大林氏については以下の投稿も参照してほしい。

日経 大林尚編集委員への疑問(1) 「核心」について
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/06/blog-post_72.html

日経 大林尚編集委員への疑問(2) 「核心」について
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/06/blog-post_53.html

日経 大林尚編集委員への疑問(3) 「景気指標」について
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/07/blog-post.html

なぜ大林尚編集委員? 日経「試練のユーロ、もがく欧州」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/07/blog-post_8.html

単なる出張報告? 日経 大林尚編集委員「核心」への失望
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/10/blog-post_13.html

日経 大林尚編集委員へ助言 「カルテル捨てたOPEC」(1)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/12/blog-post_16.html

日経 大林尚編集委員へ助言 「カルテル捨てたOPEC」(2)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/12/blog-post_17.html

日経 大林尚編集委員へ助言 「カルテル捨てたOPEC」(3)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/12/blog-post_33.html

まさに紙面の無駄遣い 日経 大林尚欧州総局長の「核心」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/04/blog-post_18.html

「英EU離脱」で日経 大林尚欧州総局長が見せた事実誤認
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/06/blog-post_25.html

0 件のコメント:

コメントを投稿