2018年7月17日火曜日

戸田和幸氏は日韓W杯を現地で見てない? 日経「スポートピア」

日本経済新聞によると、2002年の日韓W杯に出場した戸田和幸氏は、今回のロシア大会が「現地で見る初めてのワールドカップ(W杯)となった」らしい。あり得ないので、以下の内容で日経に問い合わせを送ってみた。
大雨で増水した筑後川(福岡県久留米市)※写真と本文は無関係

【日経への問い合わせ】

日本経済新聞社 運動部 担当者様

17日の朝刊スポーツ3面に載った「スポートピア~W杯にみる監督の重要性」という記事(筆者はサッカー解説者の戸田和幸氏)についてお尋ねします。なお、記事は日経の記者による聞き書きとの前提で話を進めます。


<質問1>

冒頭で戸田氏は「今回が現地で見る初めてのワールドカップ(W杯)となったが、言葉にならないほどの大きな刺激を受けた」と述べています。しかし、戸田氏は2002年の日韓W杯に出場しているので、当然に現地でW杯を見ています。記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

戸田氏は「解説者として初めて」「引退後に初めて」といった趣旨で「現地で見る初めてのW杯」と言ったのではありませんか。だとしたら、きちんと補って書くべきです。それほど難しい作業ではありません。


<質問2>

次は以下のくだりです。

前回覇者ドイツの敗退にはマネジメントの失敗が影響したといわれる。大会前、民族問題で騒がしくなり、世界屈指のGKと呼ばれるようになったテアステーゲンを控えに回し、長く代表の正GKだったが、昨季のほとんどをケガで過ごしたノイアーを起用したことも、チームのバランスが崩れた原因とされている

記事を素直に読めば、「正GK」に「ノイアーを起用したこと」は「大会前、民族問題で騒がしく」なった影響だと取れます。しかし、関係ないのではありませんか。ここで言う「民族問題」とは、エジル選手とギュンドアン選手が大会前にトルコの大統領と面会し物議を醸したことを指すのでしょう。「正GK」を誰にするかとは基本的に別問題です。

記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。少なくとも読者に誤解を与える書き方だと思えますが、いかがでしょうか。


<質問3>

最後は以下のくだりです。

ベルギーに敗れたとはいえ、決勝ラウンドまで進み、日本サッカーをアピールしてくれた代表チームには感謝の気持ちしかない。そしてここから我々がしなくてはならないのは、きちんとした検証を行い、今後の方向性を改めて定めていくこと。日本は何をしようとし、何ができて、何ができなかったのか。自分も含め現場の人間たちは冷静に分析し、4年後のカタール大会につなげていかなくてはならない

この書き方だと、戸田氏は日本代表に関して「現場の人間」だと解釈できます。なのに肩書は「サッカー解説者」です。解説者が監督やコーチになる時に「現場復帰」という言い方をします。「解説者」だとしたら「現場の人間」とは言い難いはずです。

調べてみると、戸田氏は慶応大学のコーチも務めているようです。しかし現在の日本代表との直接の関係は確認できませんでした。慶応大学のコーチとして日本代表は「何ができて、何ができなかったのか」を「冷静に分析し、4年後のカタール大会につなげて」いくとの趣旨かとも考えましたが、無理があります。

自分も含め現場の人間たち」との説明はどう理解すればよいのでしょうか。これも読者に誤解を与える記述だと思えます。

問い合わせは以上です。回答をお願いします。御紙では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。「世界トップレベルのクオリティーを持つメディア」であろうとする新聞社として、責任ある行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇

追記)結局、回答はなかった。

※今回取り上げた記事「スポートピア~W杯にみる監督の重要性
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180717&ng=DGKKZO33036910W8A710C1UU3000


※記事の評価はD(問題あり)。

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