2018年7月13日金曜日

「欧米の若年失業率は極めて高い」? 山口俊一氏に問う

米国は「若者の失業率が極めて高い」と言えるだろうか。完全雇用に近いとされる米国の状況を考えると、あり得ない気がする。しかし、週刊ダイヤモンドの記事で新経営サービス常務取締役・人事戦略研究所所長の山口俊一氏はそう言い切っていた。肩書から判断すると労働問題の専門家のようだが…。
周囲が冠水した久留米アミューズメントビル
   (福岡県久留米市)※写真と本文は無関係です

ダイヤモンドには以下の内容で問い合わせをしてみた。回答はなかった。

【ダイヤモンドへの問い合わせ】

新経営サービス常務取締役・人事戦略研究所所長 山口俊一様   週刊ダイヤモンド編集部 担当者様

7月14日号の「ダイヤモンド・オンライン発~東大卒も三流大卒も同じ初任給でいいのか…就活の常識が変わる?」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは以下のくだりです。

職種や地域、企業によっても異なるが、大学での努力を評価した『値決め』ということになる。これが米英の常識。文句があるなら勉強して、難しい大学を卒業すればいいだけの話だからだ。ただし、新卒一括採用という習慣のない欧米諸国では、若者の失業率が極めて高いといった社会問題も存在する。新卒でも優秀なら高い値段で売れる反面、そうでない人は就職することすら困難ということだ

米英の常識」に触れた後で「新卒一括採用という習慣のない欧米諸国では、若者の失業率が極めて高い」と書いているのですから、少なくとも「米英」では「若者の失業率が極めて高い」はずです。それに米国が入らないのならば「欧米」とする意味がありません。

OECDの資料で2017年の若年失業率を見ると米国が9.2%、英国が12.1%とそれほど高くありません。ちなみにOECD平均は11.9%です。ドイツ6.8%、スイス8.1%など「若者の失業率が極めて高い」とは言い難い国が他にも多数あります。ギリシャ、イタリア、スペインなどの「若者の失業率が極めて高い」とは言えますが、少なくとも米国は当てはまりません。

新卒一括採用という習慣のない欧米諸国では、若者の失業率が極めて高い」との説明は誤りだと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。御誌では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇

追記)結局、回答はなかった。

※今回取り上げた記事「ダイヤモンド・オンライン発~東大卒も三流大卒も同じ初任給でいいのか…就活の常識が変わる?
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/23928


※記事の評価はD(問題あり)。山口俊一氏への評価も暫定でDとする。

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