日経には以下の内容で問い合わせを送っている。
宇佐神宮 八子神社(大分県宇佐市) ※写真と本文は無関係です |
【日経への問い合わせ】
日本経済新聞社 荻野卓也様
20日の朝刊総合1面に載った「株持ち合い解消進む 来月の指針改定にらみ」という記事についてお尋ねします。記事に付けた「最近の主な持ち合い解消事例」という表の中に「ヤマハ」を入れ「ヤマハ発動機の株式を売却」と説明しています。しかし、ヤマハとヤマハ発動機の持ち合い関係は継続している(=解消していない)のではありませんか。
発表資料によると、ヤマハ発動機へのヤマハの出資比率は昨年12月に12.22%から9.93%に低下しましたが、出資は続いているようです。一方、ヤマハの5月1日時点での株主構成を見ると、ヤマハ発動機が5.7%を出資しています。
ヤマハは昨年12月に「持ち合い株の削減」はしたかもしれませんが、ヤマハ発動機との持ち合いを解消したとは確認できません。「最近の主な持ち合い解消事例」にヤマハを含めたのは誤りと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。
表にある「日本瓦斯(金融機関とお互いに保有株式を売却)」にも同様の問題があります。記事でも触れていますが「日本瓦斯の4月9日の適時開示」のタイトルは「持ち合い株式(政策保有株式)縮減完了のお知らせ」です。「縮減」だとすれば、持ち合い関係は解消していないはずです(一部の金融機関とは解消している可能性も残ります)。
ついでに2点ほど指摘しておきます。まず以下の記述についてです。
「野村証券が集計した日本株市場の時価総額に占める『持ち合い比率』は16年度末で10.1%。17年度のデータはまだないが『投資家の売買動向から推測し、過去最低を更新した公算が大きい』(野村資本市場研究所の西山賢吾氏)」
ここで言う「過去最低」とは「野村が統計を取り始めた1990年以降で最低」という意味でしょう。そこは正確に伝える必要があります。断定はできませんが、終戦直後などは10%を割っていてもおかしくありません。
次は以下の記述です。
「先行したのは金融機関絡みの持ち合い解消だ。日本通運は3月30日に政策保有株の売却を発表。具体名は非公表だが、銀行株などが対象のもよう。旭化成も18年3月期に銀行株を含むとみられる約150億円の株式売却益を計上した。事業会社同士の事例もある。シナネンホールディングスは昨年12月、発行済み株式の約16%にあたる自社株式を、大株主だった伊藤忠エネクスから買い取った」
「先行したのは金融機関絡み」と述べた後に出した「日本通運」の事例は「3月30日」の発表です。一方、「金融機関絡み」に遅れているはずの「事業会社同士の事例」として紹介した「シナネンホールディングス」の件は時期が「昨年12月」です。全体として見れば「金融機関絡みの持ち合い解消」が先行しているのであれば、それに沿うように事例も選ぶべきです。
問い合わせは以上です。御紙では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。クオリティージャーナリズムを標榜する新聞社の一員として、掲げた旗に恥じぬ行動を心掛けてください。
◇ ◇ ◇
追記)結局、回答はなかった。
※今回取り上げた記事「株持ち合い解消進む 来月の指針改定にらみ」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180520&ng=DGKKZO30735330Z10C18A5EA1000
※記事の評価はD(問題あり)。荻野卓也記者への評価は暫定Cから暫定D(問題あり)に引き下げる。
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