2018年4月12日木曜日

前提に誤りあり 日経社説「日本は自由貿易の維持に全力を尽くせ」

12日の日本経済新聞朝刊総合1面に「日本は自由貿易の維持に全力を尽くせ」という社説が載っている。タイトルからも分かるように「現状では自由貿易を実現できている。それを守るべきだ」との前提で主張を展開している。しかし、世界的に見ても日本に限っても自由貿易は実現していないし、実現しそうもない。このことは以前にも指摘したが、日経は相変わらず誤った認識に基づいて紙面を作っているようだ。
片の瀬公園の桜(福岡県久留米市)※写真と本文は無関係です

日経には以下の内容で問い合わせを送った。

【日経への問い合わせ】

12日朝刊の「日本は自由貿易の維持に全力を尽くせ」という社説についてお尋ねします。この社説では「世界の成長の基盤になる自由貿易と多国間協調の危機ともいえる」「自由貿易を守り多国間協調で指導力を発揮することが米国の利益にもつながる」などとも記しており、「自由貿易の維持」が必要だと訴えています。しかし、世界的にはもちろん、米国でも日本でも「自由貿易」がそもそも実現していないのではありませんか。

自由貿易」とは「国家が商品の輸出入についてなんらの制限や保護を加えない貿易。輸入税・輸入制限・為替管理・国内生産者への補助金・ダンピング関税などのない状態」(大辞林)という意味です。日本が自由貿易の国ならば、関税なしでコメなどの農産物を自由に輸入できます。北朝鮮との貿易にも制限はないはずです。現実にはそうなっていますか。

自由貿易が既に実現しているとの前提で「日本は自由貿易の維持に全力を尽くせ」と訴えるのは事実認識が誤っているのではありませんか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

御紙では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。クオリティージャーナリズムを標榜する新聞社として掲げた旗に恥じぬ行動を心掛けてください。

付け加えると「米国は日米自由貿易協定(FTA)を含む2国間での貿易赤字削減策を求めてくる可能性もある。2国間の個別問題は日米経済対話などで冷静に話し合うべきだ」との主張も整合性の問題があります。

社説では「自由貿易と多国間協調」が「世界の成長の基盤になる」との認識を示しています。ならば、米国が「2国間での貿易赤字削減策を求めて」きた場合は、2国間での協議を拒否して「多国間協調」を求めるべきです。

なのに「米国との間で新たな通商交渉を始めるならば、TPPでもカバーされていないデジタル取引など新分野を対象にし、将来は欧州やアジアなどとも連携できる枠組みづくりを進めていくべきだ」とも訴えています。「多国間協調」が「世界の成長の基盤になる」と本当に信じているのならば「デジタル取引など新分野」であっても2国間協議は断固拒否すべきです。

個人的には「多国間協調」が「世界の成長の基盤になる」とは思いませんが…。

◇   ◇   ◇

追記)結局、回答はなかった。

※今回取り上げた社説「日本は自由貿易の維持に全力を尽くせ
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180412&ng=DGKKZO29283720R10C18A4EA1000


※社説の評価はD(問題あり)。

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