2018年4月14日土曜日

「底堅い」の使い方がおかしい日経 今橋瑠璃華記者

底堅い」という相場用語がある。「」と入っていることからも分かるように、安値圏での値動きに用いるのが基本だ。14日の日本経済新聞朝刊マーケット総合2面に載った「ポジション~金相場、一段と底堅く~中東情勢・米政治不安で投資マネー流入、米利上げ加速の影響は限定的」という記事を読んで、筆者の今橋瑠璃華記者はその辺りが分かっていないのではないかと感じた。
身延桜(妙法寺のしだれ桜、福岡県うきは市)
         ※写真と本文は無関係です

日経には以下の内容で問い合わせを送っている。

【日経への問い合わせ】

日本経済新聞社 今橋瑠璃華様

14日朝刊マーケット総合2面の「ポジション~金相場、一段と底堅く~中東情勢・米政治不安で投資マネー流入、米利上げ加速の影響は限定的」という記事についてお尋ねします。冒頭で今橋様は「金相場が一段と水準を切り上げ、底堅く推移する可能性が高まっている」と記しています。問題としたいのは「底堅く」の使い方です。

底堅い」とは「取引で、相場が下がりそうな気配を見せながらも意外に下がらない。下げ足が止まっている状態をいう」(大辞林)との理解が一般的です。相場が下げ止まっている状況で用いる言葉です。

しかし記事では「一段と水準を切り上げ、底堅く推移する可能性が高まっている」と書いているので、「底堅く」なる前は上昇相場だったと推測できます。記事に付けたグラフを見ても、NY金先物は昨年12月ごろから基本的に上げ基調です。さらにグラフには「NY金先物は高止まりしている」とのタイトルが付いています。「高止まり」は「高水準で横ばい」という意味なので「下げ足が止まっている状態」とは言い難いでしょう。基本的には「上昇相場の勢いが止まった状態」です。

今回の記事では「底堅い」という用語の使い方を間違えているのではありませんか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。御紙では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。クオリティージャーナリズムを標榜する新聞社の一員として掲げた旗に恥じぬ行動を心掛けてください。

今回の記事では「安全資産」という言葉も引っかかりました。今橋様は「『安全資産』とされる金」「比較的安全資産とされる金」という表現を用いていますが、本当に金は安全資産だと感じますか。元本割れの恐れも価格変動リスクもあります。「信用リスクがない=安全」と考えれば安全資産ですが、それだと原油やアルミも安全資産になってしまいます。「安全資産とされる原油」と言われて違和感はありませんか。

個人的には「金は安全資産ではない。どうしても『安全資産』と表記したいのならば、『信用リスクがないという意味で安全資産とされる金』などと書かないと読者に誤解を与えかねない」と思っています。今橋様はどう考えますか。

◇   ◇   ◇

見出しにも「一段と底堅く」と入っているのに、商品部のデスクは気にならなかったのだろうか。経済紙のマーケット関連記事を作っているのならば、相場用語の使い方にはもっと気を使ってほしい。

追記)結局、回答はなかった。

※今回取り上げた記事「ポジション~金相場、一段と底堅く~中東情勢・米政治不安で投資マネー流入、米利上げ加速の影響は限定的
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180414&ng=DGKKZO29388740T10C18A4EN2000


※記事の評価はC(平均的)。今橋瑠璃華記者への評価も暫定でCとする。

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