2018年4月15日日曜日

問題多い日経ビジネス武田健太郎記者のロボアド記事

見出しを見ただけで問題が多そうだなと感じたのが、日経ビジネス4月16日号に載った「テクノトレンド~ロボアドバイザー プロの投資手法を初心者に」という記事だ。中身を見ると、やはり予想は的中していた。ロボアドを持ち上げる記事は、どこかに問題があると思っていい。
旧大阪商船(北九州市)※写真と本文は無関係です

基本的に投資の「初心者」はロボアドに近付くべきではない。なのに、多くの記者がロボアドサービスを提供する企業に乗せられて、前向きに紹介してしまう。今回の記事の筆者である武田健太郎記者もその1人だ。

記事の一部を見てみよう。

【日経ビジネスの記事】

「投資の結果を予測するのは難しい。この不安をテクノロジーで軽減できれば、『貯蓄から資産形成』が日本で本当に根付くはず」

こう語るのは、フィンテックベンチャー、お金のデザイン(東京・港)の中村仁社長だ。提供するロボアドバイザー(ロボアド)サービス「THEO(テオ)」は2016年2月のサービス開始から約2年で、20~30代を中心に3万3000人の利用者を獲得。預かり資産額は230億円に達した。

THEOの特徴は年金基金の運用担当者などプロの投資手法を“ロボット”に学習させ、投資初心者でも簡単に利用できるようにしたことだ。実力は2月初旬、米国の金利上昇が世界的な株安を巻き起こした場面で証明された。2~8日に主要投資先の米国株は日本円換算で8%値下がりしたが、THEOの株式運用ではマイナス5%にとどまった

使い始める際のハードルは極めて低い。スマートフォン(スマホ)の専用アプリなどから、年齢や資産運用の経験など5つの質問に答え、一定額を入金するだけ。利用者ごとに「リスク許容度」「安定収入の重視度」「インフレへの感じ方」の3つの要素のバランスをAI(人工知能)が判断し、231種類の投資戦略から最適な1つを選び出す。

その後は、世界86カ国・地域の1万1000種類の株や債券などに投資する「ETF(上場投資信託)」を複数購入し、組み合わせて運用する。株式については、値動きのブレを最小限に抑える独自のアルゴリズムを開発。それに従いロボットが自動的に売買する。毎月の売買回数は100万回程度に達するが、原則として人間の意思は介在しない。


◎なぜ手数料に触れない?

THEO」では手数料が年率1%(預かり資産3000万円以下の場合)に達する。お金のデザインのホームページには「組入ETFが直接間接に負担する運用報酬、売買手数料等の費用につきましては間接的にご負担いただきます」と出ており、実質的な手数料はさらに高くなる。しかし、記事では「THEO」に限らず、ロボアドの手数料に一切触れていない。
片の瀬公園の桜と筑後川橋(福岡県久留米市)
         ※写真と本文は無関係です

一方で「使い始める際のハードルは極めて低い。スマートフォン(スマホ)の専用アプリなどから、年齢や資産運用の経験など5つの質問に答え、一定額を入金するだけ」と読者をロボアドに誘い込むような説明はしっかりしている。これでは「金融業界の回し者」と言われても仕方がない。

自分でETFを選んで運用すれば、かなり低コストでの投資ができるのに、1%の手数料をロボアドに支払ったらそれが台無しになる。ロボアドが利回りを1%以上高めてくれると期待できるのならば利用する意味はあるが、そうした期待は持てないはずだ。

武田記者が「違う」と考えるのならば、手数料に言及した上で「手数料を上回るメリットがロボアドにはある」と言える根拠を示してほしい。

実力は2月初旬、米国の金利上昇が世界的な株安を巻き起こした場面で証明された」というくだりにも問題を感じた。お金のデザインに上手く丸め込まれたのだろう。「2~8日に主要投資先の米国株は日本円換算で8%値下がりしたが、THEOの株式運用ではマイナス5%にとどまった」から実力が「証明された」と武田記者は信じたようだ。

2月の「2~8日」に限定して見るのが、まず怪しい。例えば「『2016年2月のサービス開始から約2年』で月間ベースの利回りは一度もNYダウを下回ったことがない」と書いてあれば、多少は「本当に実力があるかも」と考えていい。しかし、なぜか「2~8日」とかなり限定した期間で「実力」を見ている。この場合「なぜサービス開始からのトータルで見ないのか。自分たちにとって都合のいい期間を選んでデータを示しているのではないか」と疑ってみるべきだ。

さらに言えば、「THEOの株式運用ではマイナス5%にとどまった」理由も重要だ。仮に「THEOの株式運用」では米国株7割、その他の株3割となっているとしよう。この3割の部分が堅調ならば、米国株が下げても運用利回りの低下は相対的に小さくなる。この場合、「実力」を証明するものではない。3割の部分のパフォーマンスが良かったのは「たまたま」かもしれない。

これはあくまで推測だ。「実力は2月初旬、米国の金利上昇が世界的な株安を巻き起こした場面で証明された」と断定するのならば、運用成績が市場平均を上回った理由は何か、それは本当に「実力」と呼ぶべきものなのかを慎重に検討してほしかった。


※今回取り上げた記事「テクノトレンド~ロボアドバイザー プロの投資手法を初心者に
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/122600029/040600016/?ST=pc


※記事の評価はD(問題あり)。武田健太郎記者への評価はDを維持する。武田記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

デサントは「巨大市場に挑まない」? 日経ビジネスの騙し
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/08/blog-post_11.html

「人生100年」に無理がある日経ビジネス「幸せ100歳達成法」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/02/100100.html

年金支給開始85歳でも「幸せ」? 日経ビジネス「幸せ100歳達成法」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/02/85-100.html

今世紀中は高齢者が急増? 日経ビジネス「幸せ100歳達成法」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/02/100_7.html

「高齢者人口が急増」に関する日経ビジネスの回答に注文
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/02/blog-post_8.html

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