横浜ランドマークタワー(横浜市) ※写真と本文は無関係です |
「2100年、84歳になった青木陽人」に関してどう描いているのか見てみよう。
【日経ビジネスの記事】
東京の家を売り払い、地方都市に移住した。45年以降、政府は人口減でスカスカになった日本列島をコンパクトで効率的な国に作り変えるべく、人口10万~20万人程度の地方都市にインフラや行政サービスなどを集約させた。低所得者でも暮らせる家賃1万円の公営住宅を整備。雇用も不足しないよう配慮し、クラウドワーカーが働きやすいように通信環境も重点的に整備された。この政策のおかげで、多くの人々が東京から地方に移り住んだ。
陽人は公営住宅に入居し、フリーで配線修理の仕事をしながら妻のリハビリに付き合った。幸い妻は回復し歩けるようになったことから、税理士の通信教育講座を受講し資格を取得。クラウドワーカーとして税理士事務所を立ち上げ、約25年がたった。
85歳となる来年からは年金受給が始まる。夫婦合わせて月10万円足らずだが、貯金を少しずつ取り崩し、税理士の仕事を週2回程度すれば、十分生活できると考えている。
◎「バッドシナリオ」のような…
まず「年金受給が始まる」のが「85歳」では辛い。「2100年には年金受給が85歳からになる」と聞いたら「年金制度は実質的に破綻するんだな」としか思えない。筆者には「2100年には84歳でも元気に働ける人の割合が95%を超える」といった前提があるのかもしれないが、現実的ではない。
さらに、やっともらえる年金が「夫婦合わせて月10万円足らず」なのが厳しい。現在の物価水準が続くとの前提で「家賃1万円の公営住宅」に住むとしても、光熱費や通信費を差し引くと残るのは8万円程度だろう。
「税理士の仕事を週2回程度すれば、十分生活できる」かもしれないが、逆に言えば85歳になっても仕事を続けないと「生活」が成り立たない。「青木陽人」さんが100歳まで生きる場合、「十分生活できる」だけの収入を得ようとすると、90代になっても働き続けるしかない。それが本当に「ハッピーシナリオ」なのか。
特集を担当した武田健太郎記者と武田安恵記者には、その辺りをもっと突き詰めて考えてほしかった。
※今回取り上げた特集「幸せ100歳達成法~長生きリスクを越える」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/special/013000903/?ST=pc
※特集全体への評価はD(問題あり)。武田健太郎記者と武田安恵記者への評価もDを据え置く。今回の特集に関しては以下の投稿も参照してほしい。
「人生100年」に無理がある日経ビジネス「幸せ100歳達成法」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/02/100100.html
今世紀中は高齢者が急増? 日経ビジネス「幸せ100歳達成法」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/02/100_7.html
「高齢者人口が急増」に関する日経ビジネスの回答に注文
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/02/blog-post_8.html
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