大刀洗平和記念館(福岡県筑前町)のMH2000ヘリコプター ※写真と本文は無関係です |
特集の最初に出てくる「『省エネ英語』のトリセツ」という記事の一部を見てみよう。
【日経の記事】
ビジネスで通用するレベルになりたいけれど、英語に対するコンプレックスが消えない。いつの間にか、世間では「英語がビジネスマンの必須スキル」といわれるようになり、落ちこぼれることへの焦りと苦手意識ばかりが増幅している──。
そんな悩みを抱えたビジネスマンが意外に多いのではないだろうか。そう考えたことが、本特集を企画するに至った起点である。会社からはTOEICのハードルを設けられ、楽しく学習する心理的余裕などない。非現実的な習得の「ゴール」を目指した結果、現実とのギャップに苦しみ、途中で挫折してしまっては身もふたもない。
だが、立ち止まってみてほしい。日本で働いている限りにおいて、共通言語は日本語である。焦る必要は全くないのだ。
そこで今回、本誌が提唱したいのは、習得のデッドラインを強制的に設ける「サバイバル英語」ではなくて、時間もおカネも負荷もかけない「省エネ英語」である。
上図に示したのが、省エネ英語の“トリセツ”である。賛否両論あるだろうが、英会話スクール通学や短期留学、TOEIC対策といった勉強法は見送った。
まずは「英語を嫌いにならないこと」「英語に触れ続けること」を最優先目標とすることにした。
◎どの程度の「省エネ」?
今回の特集で気になったのは「どの程度の省エネ学習で、どの程度の英語力が身に付くのか」が分からない点だ。
須賀神社(福岡県朝倉市)※写真と本文は無関係です |
「英会話スクール通学や短期留学、TOEIC対策といった勉強法は見送った」と言うが、代わりに自宅や電車内でたっぷり勉強するのであれば「時間も労力もかけない」勉強法とは程遠い。
特集では「『中学3年間』を教科書でおさらい」という「時間も労力もかける」学習法をまず紹介している。さらには英字メディアの読み方を解説したり、「『財務3表』を英語で読む」ことを薦めてみたりと「時間も労力もかける」勉強法が次々と出てくる。
「時間も労力もかけない」と言うのであれば、まず「英語の勉強は1日5分間で十分」などと目安を示してほしい。
取材班は「『英語を嫌いにならないこと』『英語に触れ続けること』を最優先目標とすることにした」らしい。それはそれでいい。だが、毎日5分の勉強で、英語嫌いにならず、英語にも触れ続けたものの、英語力も大して付かなかった--では意味がない。
結局、「ビジネスで通用するレベル」の英語力を身に付けたかったら「時間も労力もかける」しかないと取材班も分かっているのではないか。
記事でも触れているように「会社からはTOEICのハードルを設けられ、楽しく学習する心理的余裕などない」ビジネスマンは大勢いるだろう。そういう人に「日本で働いている限りにおいて、共通言語は日本語である。焦る必要は全くないのだ」と慰めて意味があるのか。
「本誌推奨 省エネ英語」という図の中で「無駄に時間をかけない→TOEICは目指さない」としているが、「会社からはTOEICのハードルを設けられ」ていても、「TOEICは目指さない」勉強法を取材班では「推奨」するのか。だとしたら、読者のニーズに応えているとは言い難い。
※今回取り上げた特集「日本人のための学習法 究極の省エネ英語 金も時間も労力もかけない!」
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/21923
※特集全体の評価はC(平均的)。英語を学ぶ上で役に立つ情報もかなりあった点を考慮した。新井美江子記者への評価はCを据え置く。浅島亮子副編集長と山本輝記者はCで確定とする。堀内亮記者はD(問題あり)からCへ引き上げる。
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