天ケ瀬温泉(大分県日田市) ※写真と本文は無関係です |
記事の全文は以下のようになっている。
【日経の記事】
景気のよい日本で唯一、低迷を脱せない景気指標が物価だ。日銀は31日に開いた金融政策決定会合で、2017~18年度の物価見通しを下方修正した。
生鮮食品を除く消費者物価の前年比上昇率は直近9月で0.7%。伸び率は回復基調にあるが、これは原油価格が前年と比べて持ち直した影響が大きい。エネルギーも除いたベースでみると0.2%だ。
「下振れリスクが大きい」。日銀は19年度の物価見通しを据え置いたが、9人の政策委員のうち6人がこう表現して今後の下方修正を念頭に置く。17年度の物価見通しは物価低迷を反映させて1.1%から0.8%に下げた。18年度も0.1ポイント下げて1.4%にした。
「日本の物価は2段階で、実体経済の回復に比べて遅れが目立つ」。黒田氏はこう指摘した。一つは春闘による正規社員の賃上げがすぐに進まない点。もう一つが企業の価格転嫁への慎重姿勢だ。企業は省力化投資などで人件費の増加を抑え、価格転嫁を回避していると日銀はみている。
◎物価安定は「よくない状態」?
「生鮮食品を除く消費者物価の前年比上昇率は直近9月で0.7%」だという。これを「物価低迷」と見るべきなのか。個人的には「物価安定」だと思える。デフレでもないこの状況を「抜け出すべき」との前提で記事を作るのは引っかかる。
福岡県立朝倉高校(朝倉市)※写真と本文は無関係です |
記事を書いた記者にそう言えば「日銀の物価目標の2%には届いていないから『低迷』でいいのでは?」と返してきそうな気がする。しかし、日経が日銀と目標を共有する必要はない。大多数の国民が「インフレ率で1%未満はダメ。2%に届かせたい」と願っているとも考えにくい。
物価上昇率が0.7%だとしても、これを「低迷を脱せない景気指標」と捉える見方には賛成できない。物価安定を良しとする立場からは、ほぼ理想的な状態だ。
ついでに言うと、物価に関して日経の見方を認めるとしても、「景気のよい日本で唯一、低迷を脱せない景気指標が物価だ」との説明には同意できない。
10月20日の日経の記事では「厚生労働省が20日発表した8月の毎月勤労統計(確報値、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比0.1%減となり、速報値(0.1%増)から減少に転じた」と伝えている。
物価上昇率0.7%が「低迷」なのに、実質賃金の「0.1%減」は「低迷を脱せない景気指標」には入らないのか。物価以上に「低迷」していると捉えるべきだ。
※今回取り上げた記事「物価は低迷脱せず 日銀、また下方修正」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171101&ng=DGKKZO22942830R31C17A0EA2000
※記事の評価はD(問題あり)
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