2017年9月16日土曜日

日経 山本修平記者「銅、高値修正は限定的」の支離滅裂

筆者の山本修平記者はマーケットの仕組みをまともに理解していないのではないか。そう思える記事が16日の日本経済新聞朝刊マーケット総合2面に出ていた。「ポジション~銅、高値修正は限定的 投機筋の売りで上げ一服 実需の買いが下支え」 という記事では、どう解釈してよいのか謎の説明が出てくる。
豪雨被害を受けた福岡県朝倉市 ※写真と本文は無関係です

日経に送った問い合わせの内容は以下の通り。

【日経への問い合わせ】

マーケット総合2面の「ポジション~銅、高値修正は限定的 投機筋の売りで上げ一服 実需の買いが下支え」 という記事についてお尋ねします。「投機的な買いの影響は8月中旬がピーク」というタイトルが付いた「スペキュレーティブ・T・インデックス」のグラフには「CFTC建玉から作成、投機筋の売りを実需の売りと買いの合計で割り、1を合算」との注記があります。

CFTCのデータを用いて「投機筋の売り建玉÷(実需の売り建玉+実需の買い建玉)」に1を加えると、「投機指数は5日時点で1.49」という記事通りの数字が出てきます。ただ、この指数から「投機的な買いの影響」は読み取れないはずです。指数の算出に「投機筋の売り」は反映されていますが「投機筋の買い」は影響しません。なのに、なぜか「投機的な買いの影響は8月中旬がピーク」と読み取ってしまいます。

記事では「投機買いは市場でどの程度の影響があったのか。目安となるのが『スペキュレーティブ・T(ティー)・インデックス』という投機指数だ」と述べた上で、「投機家の買いが実需のヘッジ売りを満たす水準にとどまるなら指数は均衡を意味する1。余分に買いを入れるほど1より大きくなる」と説明しています。

これを信じれば、指数が上昇するためには投機筋の買いが増える必要があります。しかし、グラフの注記が正しいとすると、投機筋の買いがいくら増えても指数には影響しません。指数に関する説明には矛盾が生じます。
九州北部豪雨後の福岡県東峰村 ※写真と本文は無関係です

記事には、もう1つ誤りだと思える部分があります。「米商品先物取引委員会(CFTC)によると、大口ファンドの買い越し幅は直近5日で12万枚強と歴史的な高水準だ」という説明です。「5月以降、大口ファンドの買い越しが拡大」というタイトルのグラフでも、直近の買い越し幅は「12万枚強」だと示しています。

しかし、CFTCの建玉明細を見ると、5日の買い越し幅は約4万8000枚です。「12万枚強」は売り建玉の枚数ではありませんか。これならば5日時点で約12万3000枚となっています。

上記の2点について、記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。今回の記事は根本的に成立していない可能性が高いと思えます。マーケットに関するある程度の知識がある人ならば「どう考えてもおかしい」と気付くはずです。

御紙では、読者からの間違い指摘を無視する対応が当たり前になっています。クオリティージャーナリズムを標榜する新聞社として、掲げた旗に恥じぬ行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇

こちらの指摘が正しければ、記事の説明は支離滅裂と言っていいレベルだ。「さすがに、そこまで変なことは書かないだろう」と思って色々と考えてみたが、どうやっても矛盾が解消しない。

記事で取り上げた「スペキュレーティブ・T・インデックス」について調べてみても、ネット検索では全く手掛かりが得られなかった。なので、日経の言う計算方法で正しいのかも不明だ。


※今回取り上げた記事「ポジション銅、高値修正は限定的 投機筋の売りで上げ一服 実需の買いが下支え
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170916&ng=DGKKASDJ15H3A_V10C17A9EN2000


※記事の評価はE(大いに問題あり)。山本修平記者への評価も暫定でEとする。この記事に関しては以下の投稿も参照してほしい。

問題多過ぎの日経 山本修平記者「銅、高値修正は限定的」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_2.html

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