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その点で、週刊エコノミスト3月13日に載った「金融政策を問う(22) 政府の『脱デフレ宣言』受け、正常化へ」(筆者はバークレイズ証券調査部長の山川哲史氏)という記事は高く評価できる。記事の冒頭で山川氏は以下のように書いている。
【エコノミストの記事】
日銀による異次元緩和は、主要海外中央銀行による金融政策が米国を中心に「正常化」へと向かうなか、ようやく転換点を迎えつつある。
筆者が所属するバークレイズ証券は以下のとおり予想する。日銀は今年9月にも、政府の「脱デフレ宣言」を受け、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の対象年限を、現状の10年物国債から5年物へと短期化する。さらに、短期化によってイールドカーブの急傾斜化が定着した段階でマイナス金利を解消し、「ゼロ金利政策」へ復帰するだろう。
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「マイナス金利を解消」する時期については明示していないものの、金融政策が「正常化」に向かう時期は「今年9月にも」と特定している。「にも」に逃げを感じるかもしれないが、記事の別のところでは、以下のようにも記している。
【エコノミストの記事】
市場では、18年の「正常化」を予測するのは少数派で、過半は19年以降の「正常化」を見込む。ただし19年に入ると、米国の利上げサイクルが頓挫するリスクが(少なくとも18年と比較すると)高まるなか、日本では10月の消費税率引き上げを契機に財政政策が一気に縮小へと転化するなど、日銀の政策自由度は逆に低下すると考える方が自然だろう。
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「19年に入ると」「日銀の政策自由度は逆に低下する」ので、「18年の『正常化』を予測する」のが山川氏の考え方だ。「市場では、18年の『正常化』を予測するのは少数派」と認めた上で、あえて年内に当たり外れが判明する「少数派」の予測を出してきたところが素晴らしい。
予測の根拠にも説得力を感じた。一部を紹介したい。
【エコノミストの記事】
そもそもインフレ目標の採用を含む異次元緩和は、日銀が完全な独立性を持って自律的に導入した政策というより、むしろ安倍政権下における「脱デフレ政策」の一環として、政権から日銀に政治課題として与えられた側面が強い。このような前提に立つ限り、政治力学の変化は日銀による「正常化」にも大きく影響するとみるべきだろう。
中略)今年後半以降の一連の政治イベント、及びこれを控えた年半ばの段階での政府の「脱デフレ宣言」は、これ自体が金融政策の「正常化」に直結するわけではないにしろ、「正常化」に向けた日銀の政策自由度を確実に高める展開となるだろう。
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「金融政策予想にあたっては、政治力学を見極めることが重要となる」と山川氏は考えており、その主張には納得できる部分が多い。予測が当たるかどうかは、もちろん分からない。ただ、この予想は2018年の金融政策を見ていく上で大いに参考になる。日銀が本当に9月にも「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の対象年限を、現状の10年物国債から5年物へと短期化する」のかどうか。注目したい。
※今回取り上げた記事「金融政策を問う(22) 政府の『脱デフレ宣言』受け、正常化へ」
https://www.weekly-economist.com/20180313bojexit/
※記事の評価はB(優れている)。山川哲史バークレイズ証券調査部長への評価も暫定でBとする。
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