2016年11月14日月曜日

雑誌の苦境は伝えたくない? 東洋経済のメディア特集

これでは「自分たちのことは棚に上げて…」と批判されても仕方がない。週刊東洋経済11月19日号の特集「そのメディアにおカネを払いますか?」では、42ページも費やしてメディアの現状を分析している。だが、なぜだが「雑誌」にはほとんど触れていない。
佐賀城公園(佐賀市) ※写真と本文は無関係です

ニュースは基本的に無料でしか読まれない “デジタル難民”となる新聞」「系列を超えた再編・淘汰が近づく 読売、朝日に迫る販売ハルマゲドン」「テレビは『暇潰し』ではなくなった サザエさん視聴率 急落の深刻な事情」といった記事で新聞・テレビの苦境を伝えるのは構わない。だが、雑誌も安泰ではないはずだ。なのになぜ、そこに斬り込まないのか。

今回の特集で雑誌関連は「ドコモの雑誌読み放題『dマガジン』成功の秘訣」という記事ぐらいだ。これも、あくまで「ドコモ」を取り上げた記事であり、メディアとしての雑誌の実力を論じてはいない。

特集の冒頭では「テレビと新聞の地位低下が止まらない。個人は無料メディアに流れ、企業は広告をネットにシフトさせている。生存競争の勝者は誰だ」と早々に「雑誌抜き」を示唆している。特集の担当記者らには、雑誌を論じる意思が最初からなかった可能性が高い。

だったら、メディア全般を論じると誤解させるようなタイトルは避けるべきだ。表紙の写真には、朝日、読売、毎日という全国紙の上に、東洋経済、週刊文春、週刊新潮の3誌が見える。表紙では雑誌を大きく前に出し、「そのメディアにおカネを払いますか?」と問いかけているのだ。なのに、雑誌メディアの実力をほとんど分析せずに特集を作る。その志の低さには落胆を禁じ得ない。


※特集全体の評価はC(平均的)。特集の担当者への評価は以下の通りとする。

中原美絵子記者(Cを維持)
田邊佳介記者(暫定C→C)
山田雄一郎デスク(暫定A→暫定B)
長瀧菜摘記者(暫定C)
許斐健太記者(暫定C→C)
二階堂龍馬記者(暫定D→暫定C)
松崎泰弘記者(暫定C)
中山一馬記者(暫定C)
前田佳子記者(暫定B→暫定C)
山川清弘副編集長(暫定C)


※今回の特集に関しては以下の投稿も参照してほしい。

期待外れの東洋経済「日経&FTは世界で戦えるのか」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_99.html

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