両筑橋からの筑後川(福岡県久留米市・朝倉市) ※写真と本文は無関係です |
ここからは23日の日経朝刊国際面のトップ記事「原油、今年も供給過剰~IEA見通し、経済減速で需要減 価格低迷、長期化へ」の見出しに注文を付けていく。ただ、「見出しに責任を負う整理部は、日経の紙面レベルの低さに関して責任の軽い部署ではある」と最初に強調しておきたい。
今回の記事では「経済減速で需要減」という見出しが間違いの公算大だ。記事によると、原油需要は2015年にかなり伸びているし、16年以降も増加が続く見通しだ。
「価格低迷、長期化へ」も間違いとは言わないが、読者に誤解を与える見出しになっている。
この件では日経へ問い合わせをした。日経のいつものパターンであれば回答は届かないだろう。「国際面担当の整理部面担・デスクに届けてください」とは付け加えておいたが…。
【日経への問い合わせ】
23日の日経朝刊国際面に載った「原油、今年も供給過剰~IEA見通し、経済減速で需要減 価格低迷、長期化へ」という記事についてお尋ねします。
見出しでは「経済減速で需要減」となっていますが、記事に付いたグラフを見ると、2016年から21年まで需要増加が続く見通しとなっています。記事の中で原油需要に関して「21年までの伸びは年間平均120万バレルにとどまる。景気減速で需要が鈍るからだ」(※「需要が鈍る」は舌足らずな表現ですが、筆者は「需要の伸びが鈍る」と言いたいのでしょう)との説明はありますが、「需要減」と解釈できる記述は見当たりません。見出しの「需要減」は誤りと考えてよいのでしょうか。問題ないとすれば、その根拠を教えてください。
「価格低迷、長期化へ」という見出しも疑問が残ります。この見出しは「17年は需給がほぼ釣り合うが、積み上がった在庫が価格を押し下げ、価格低迷は長期にわたる可能性を示した」という記述から取ったのでしょう。関連記事でもビロルIEA事務局長は「中国経済は6%をやや上回る成長を続けると考えているが、一段と減速感が強まれば、原油価格の低迷が長期化する可能性がある」と述べてはいます。
しかし、価格低迷が長期化する可能性を示したからと言って「価格低迷、長期化へ」と見出しに取ると誤解を与えかねません。ビロル氏はインタビュー記事の中で「今後5年間は原油消費が拡大し20年までには世界の需要が初めて日量1億バレルに到達するとみている。価格も1バレル80ドルに向かって上昇すると予想される」と述べています。NHKの記事によると同氏は「ことしはまだ低迷が続くが来年には上昇し、2020年には1バレル=80ドルに達するだろう」と語っているようです。つまり「原油価格の低迷は長期化しない」というのがIEAのメーンシナリオなのです。
今回の記事で言えば、見出しは「価格低迷、長期化へ」というより「価格、長期的には上昇へ」なのです。「低迷」を打ち出したい場合でも「価格低迷、長期化も」ぐらいが限界でしょう。
見出しの「需要減」に関しては回答をお願いします。1週間が経過しても回答がない場合は、記事に誤りがあったと断定させていただきます。
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※記事の評価はD(問題あり)。ただ、見出しの問題が主なので、今回は書き手に対する評価を見送る。
追記)結局、回答はなかった。
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