2016年2月14日日曜日

日経1面「中国と世界」 無戸籍者問題の説明は「騙し」?(1)

14日の日本経済新聞朝刊1面に載った「中国と世界~わなへの恐怖(3)格差が生んだ格差」は色々と問題のある記事だった。まずは中国の無戸籍者問題を考えたい。日経はこの問題について「(中国政府の)具体策はこれからだ」と断言している。しかし、無戸籍者に戸籍を与えるという方針を中国政府が既に打ち出していた場合、「具体策はこれから」と言えるだろうか。

まずは日経の記事から見ていこう。
鹿毛家住宅(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

昨年まで続いた一人っ子政策の下、地方では低所得層の親が2人目の子供や障害児を手放すことも多かった。戸籍を持てない孤児は学校にも行けず、鉄道などの利用のほか、宿に泊まることさえできない。こうした無戸籍者は全人口の1%、1300万人に達する

(中略)中国政府によると、年間収入が2300元(約3万9千円)を下回る貧困層は全国に7000万人。習近平指導部は昨年11月、20年までに貧困層を救うと宣言しており、無戸籍者問題にも取り組んでいるが、具体策はこれからだ

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例えばロイターは昨年12月に「中国政府は9日、戸籍(戸口)登録がない国民に対して戸籍を付与すると発表した」と報じている。他社の報道でも同じ内容を確認できる。こうした情報が正しい場合、日経の記事は「騙し」にも見えてしまう。戸籍付与の方針を知らなかった可能性も、もちろんあるが…。

日経には問い合わせを送っておいた。回答はないだろう。

【日経への問い合わせ】

14日朝刊1面の「中国と世界~わなへの恐怖(3)」という記事についてお尋ねします。記事では「戸籍を持てない孤児は学校にも行けず、鉄道などの利用のほか、宿に泊まることさえできない。こうした無戸籍者は全人口の1%、1300万人に達する」と中国の現状に触れた上で「(中国政府は)無戸籍者問題にも取り組んでいるが、具体策はこれからだ」と説明しています。

しかし、ロイターなどの報道によると、中国政府は戸籍登録がない国民に対して戸籍を付与すると昨年12月に発表したようです。「具体策はこれからだ」というより、抜本的な解決策を既に提示したと考えるべきでしょう。14日朝刊の記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいと言う場合、その根拠も併せて教えてください。なお、1週間以内に回答がない時は、記事中の誤りを認めたものと判断させていただきます。

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今回の記事は他にも問題が多い。それらについては(2)で触れる。

※(2)へ続く。

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