2016年2月2日火曜日

驚異的な完成度の低さ 日経「ドバイ原油、3週ぶり高値」(1)

驚くほどレベルの低い記事が2日の日本経済新聞マーケット商品面に出ていた。「ドバイ原油、3週ぶり高値~1月下旬比、3割上昇 減産観測、投機筋買い戻し」というトップ記事だ。筆者が市場の仕組みを理解していないうえに、文章も拙い。主要商品である原油を担当しているのだから、入社して間もない記者でもないはずだ。それでこの完成度では救いようがない。さらに絶望的なのは、商品部のデスクが目を通しているのにこの出来ということだ。商品面のトップに据える記事なので「時間がなくて適当に流した」との言い訳も通用しない。
JR久大本線 日田駅(大分県日田市) ※写真と本文は無関係です

では、記事の何がダメなのか。日経に問い合わせを送ったので、その内容から見てほしい。

【日経への問い合わせ】

2日朝刊の「ドバイ原油、3週ぶり高値」という記事について2点お尋ねします。

記事中に「ニューヨーク市場では1月26日時点で投機筋によるWTIの買い持ち高が50万枚(1枚千バレル)を超え、2015年5月以来の高い水準となった。買い戻しの背景にあるのは産油国の減産と、米国の追加利上げ先送りという2つの思惑だ」との記述があります。これを読む限り「投機筋の買い戻しによって投機筋の買い持ち高が増えている」と受け取れます。しかし、買い戻し(売り方の手じまい買い)であれば、建玉は決済されてなくなります。つまり、買い持ち高(買い建玉)の増加にはつながりません(売り建玉の減少にはつながります)。投機筋の買い持ち高を増やすのは「買い戻し」ではなく「新規の買い」です。

また、冒頭の「原油価格が反発し、アジア市場の指標となるドバイ原油は3週間ぶりの高値となった。約12年8カ月ぶりの安値だった1月下旬比で3割高い。主要産油国の減産観測を材料に、投機筋の買い戻しが入り、とりあえず安値が一服した形だ」という説明も不可解です。記事からは「投機筋の買い戻しによってドバイ原油の価格が上昇した」と読み取れます。しかし、ここで言うドバイ原油相場とは現物のスポット取引価格のはずです。先物市場と異なり「投機筋の買い戻し」が入るとは考えにくい気がします。「NY原油先物市場に投機筋の買い戻しが入ってNY原油相場が上昇→それを受けてドバイ原油相場がつれ高に」といったルートは考えられますが、記事からそう読み取るのは困難です。

上記の2点に関して、記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいとすれば、その根拠も教えてください。

ついでに言うと「安値が一服」には違和感があります。今回の場合ならば「下げが一服」とした方が自然です。

----------------------------------------

「ドバイ原油の買い戻し」については、何とか正当化できそうな気もしないではない。日経から回答が届く可能性は非常に低いが、とりあえずは待とう。そして、他の問題点については(2)で述べる。

※(2)へ続く。

追記)結局、回答はなかった。

0 件のコメント:

コメントを投稿