2015年10月26日月曜日

ボツにすべきベタ記事 日経「ボトル缶ワンダ アサヒ飲料増産」

26日の日経朝刊企業面のベタ記事「ボトル缶コーヒー『ワンダ』、来月分6割増産 アサヒ飲料」は紙面に載せる意味がない。「増産」というものの、その関連で出てくる数値は「年初計画比」のみ。これでは過去と比べて生産量がどのぐらい増えるのか全く分からない。明らかな欠陥記事だ。

記事の全文は以下の通り。
大濠公園(福岡市中央区) ※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

アサヒ飲料はボトル缶タイプの缶コーヒー「ワンダ」を増産する。11月の生産量を年初計画に比べ約6割増やす。ボトル缶タイプの「グランドワンダ」の2商品の販売実績が9月末時点で計画比約2割増と好調に推移しており増産を決めた。20日からホット専用の新商品も投入しており、秋冬に最盛期を迎える缶コーヒー需要を取り込む

増産するのは、今春から販売している「グランドワンダブラック」(希望小売価格140円)など2商品。全国の5工場で増産する計画。

ホット専用商品は従来の2商品と同じ製法でうまみを出したうえに、香りをさらに引き立てた

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「増産」を記事にするならば、「生産をいつに比べてどの程度増やすのか」はゼヒで欲しい。記事から分かるのは「11月の生産量を年初計画に比べ約6割増やす」ことだけだ。これだと「生産量は10月と比べて横ばいで、前年同月比では5%減少」でもおかしくない。

年初計画の生産量が分かるならば、「計画比6割増」でも多少は意味があるだろう。しかし、記事には生産量も生産金額も全く出てこない。「ワンダ」には何種類の商品があるのか、「グランドワンダ」の増産によってワンダ全体の生産量はどのぐらい増えるのか、12月以降の生産はどうするのか、増産は新規投資を伴うものなのか--など記事には不明な点だらけだ。

「短いベタ記事にそんなに盛り込めない」と筆者は弁明するかもしれない。もちろん限界はある。ただ、「20日からホット専用の新商品も投入しており、秋冬に最盛期を迎える缶コーヒー需要を取り込む」とか「ホット専用商品は従来の2商品と同じ製法でうまみを出したうえに、香りをさらに引き立てた」などと宣伝臭い余計な話を入れる余裕があるならば、増産に関する情報をもっと盛り込むべきだ。

年初計画に比べ約6割増やす」ことぐらいしか生産量に関する具体的な情報がないのならば、記者は記事にするのは諦めた方がいい。デスクの判断としては、書き直しさせるかボツにすべきだ。こんな記事を世に送り出すのは「まともな記事を作る能力が自分たちにはありません」と紙面を使って公言しているのに等しい。

※記事の評価はE(大いに問題あり)。

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