2015年10月19日月曜日

ヨイショが過ぎる東洋経済「アシックス 知られざる改革」(2)

東洋経済10月24日号に載った深層リポート「アシックス 知られざる改革」(86~91ページ)では、アシックスへのヨイショのためか、あえて国内事業の不振に触れていないのではと思える記述があった。

福岡城跡(福岡市中央区) ※写真と本文は無関係です

【東洋経済の記事】

絶好調のただ中にある今期、アシックスは意外にも19年ぶりの人員リストラに着手している。対象となったのは国内事業担当の従業員で、この部門の従業員の2割弱に相当する350人分の希望退職を9月に募ったのだ。「こんなに業績がいいのに、なぜ人を切るのか」。従業員から不満の声が漏れるのは事実だ。

このリストラには、スポーツ用品のトップブランドを追おうという尾山社長の決意が透けて見える。国内首位、世界3位レベルといっても、売上高約3兆8000億円のナイキ、同約2兆円のアディダスとの差は極めて大きい。

(中略)上位企業にキャッチアップし、新興勢力の猛追もかわすためには、製品や店舗に継続的に投資できる収益力が不可欠だ。前述のリストラによる費用節減効果は年25億円と見込まれている。


記事だけ読むと「国内事業が不振だから、国内で人を減らす」という印象は受けない。しかし、報道によると、アシックスの国内事業は赤字のようだ。そうならば、赤字に触れた上で「海外は好調なのに、なぜ国内はダメなのか」を分析すべきだろう。

国内が赤字なのは、筆者である常盤有未記者と杉本りうこ記者も知っていたはずだ。「アシックスと尾山社長をヨイショしたい」という気持ちが強すぎて、上記のような書き方になってしまったのではないか。記事の冒頭では、同社の「オニツカタイガー表参道店」の絶好調ぶりを描写し、国内事業も問題がないかのように見せている。さらには、国内の赤字に触れず「前向きのリストラ」を強調してしまった。「実際にマイナス要素がないから記事がヨイショ一色になった」と言うならまだ分かるが、今回のような持ち上げ方は感心しない。

記事には、他にも細かい点でいくつか注文がある。それらについては(3)で述べる。

※(3)へ続く。

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