2021年5月20日木曜日

「先進国と新興国でK字型の差が鮮明」? 日経「K字経済の試練(下)」に見える騙し

20日の日本経済新聞朝刊1面に載った「K字経済の試練(下)新興国不安、米回復で増幅~債務増大がアキレスけんに」という記事も苦しい内容だった。「」と同様に「K字経済」を描けていない。企画段階で「これで行ける」と判断したのが不思議だ。記事の一部を見ていこう。

筑後川の土手

【日経の記事】

コロナ危機からの回復は先進国と新興国でK字型の差が鮮明だ。国際通貨基金(IMF)は4月、主要7カ国(G7)の成長率が21年に5%を超え、20年のマイナス5%からV字回復する見通しを示した。20年にマイナス7%に沈み、21年も4%台の成長にとどまる中南米などと対照的だ。


◎似たような動きだが…

G7」は「マイナス5%」から「5%」成長へ転じる。一方「中南米など」は「マイナス7%」から「4%」に回復する。どちらも「V字回復」と言えなくもない。しかし筆者は「対照的だ」と言い切ってしまう。「K字経済の試練」というタイトルなので「K字経済」に見せる必要があるのは分かる。だとしても強引すぎる。

中南米など」とボカしているのも引っかかる。「新興国」の一部を切り出しているのだろうが、どうも怪しい。

調べてみると「IMF」が「4月」に出した2021年予測では「先進国・地域」が5.1%成長で「新興市場国と発展途上国」が6.7%成長となっている。「ラテンアメリカ・カリブ諸国」は4.6%なので記事ではこの数字を使ったのだろう。

先進国と新興国でK字型の差が鮮明」と言えるのならば「新興市場国と発展途上国」全体の数字を用いればいい。しかし、それだと「先進国」の成長率を上回ってしまい話が成立しない。なので、ご都合主義的に「ラテンアメリカ・カリブ諸国」の数字を前面に出したとすれば腑に落ちる。

だとしたら「先進国と新興国でK字型の差が鮮明」ではないことを筆者は分かっている。つまり意図的に読者をだましている。この罪は重い。


※今回取り上げた記事「K字経済の試練(下)新興国不安、米回復で増幅~債務増大がアキレスけんに

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA091OH0Z00C21A4000000/


※記事の評価はE(大いに問題あり)

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