マクドナルドの宣伝担当にでもなったつもりなのかーー。8日の日本経済新聞朝刊総合5面に載った「マクドナルド、店大型に 240億円投じ調理能力2倍」という記事を読むと、そんなツッコミを入れたくなる。この記事は同面で2番手の扱い。見出しは4段で写真とグラフ付き。「かなり大きなニュースですよ」と読者に訴えているはずだ。しかし途中で驚きの一文が出てくる。そこまでを見ていこう。
夕暮れ時の筑後川 |
日本マクドナルドホールディングスは新型コロナウイルス下での「巣ごもり需要」に対応するため、店舗を大幅刷新する。各店の調理能力を2倍にするほか、建て替えなどで大型化してドライブスルーの受け入れ能力も拡大する。2021年12月期の設備投資を13年ぶりの高水準となる約240億円に引き上げ、宅配などの需要増を取り込む。
店舗の刷新は新たな厨房設備の導入と店舗の大型化が柱になる。新設備の導入でハンバーガーなどを同時に調理できる人数を現在の2倍の4人にする。店舗も建て替えや移転で大型化し、ドライブスルーの受け入れ能力を高める。車が商品の注文のために並ぶレーンを1店当たり2レーンにする。
今期の設備投資は約240億円と前期に比べて約2割増える。設備投資の増額は4年連続で、直営店の出店を増やした08年12月期以来の水準になる。マクドナルドは全国に約2900店を展開する。新設備の導入店舗数などは明らかにしていない。
◎「導入店舗数などは明らかにしていない」のなら…
「マクドナルド、店大型に 240億円投じ調理能力2倍」という見出しを見ると「マクドナルド」全体で見て「調理能力」が「2倍」になるような印象を受ける。しかし「同時に調理できる人数を現在の2倍の4人にする」店や「ドライブスルーの受け入れ能力を高める」店がどの程度あるのか明らかにしないまま話が進んでいく。そして「新設備の導入店舗数などは明らかにしていない」という説明が出てくる。
「新設備の導入店舗数などは明らかにしていない」のならば記事にするのは諦めた方が賢明だ。どんなに無理してもベタ記事止まりだろう。しかし日経は4段見出しを立てて写真とグラフまで付けてしまった。
「マクドナルド」の意図を考えてみよう。「マクドナルド」全体で見て「調理能力」が「2倍」になるような設備投資をするのならば「全店でやりますよ。凄いでしょ」とアピールしてくるはずだ。取材に応じながらも「新設備の導入店舗数」を明らかにしないとすれば「導入店舗数」はかなり少ないと推測できる。
となると今回の扱いは明らかに大きすぎる。しかも見出しなどで「マクドナルドの店が全体的にさらに良くなる」という印象は読者に与えている。読者よりもマクドナルドの方を見て記事を作っていると言われても仕方ない内容だ。
さらに言うと「マクドナルド、店大型に 240億円投じ調理能力2倍」と見出しを付けているが、記事では「今期の設備投資(の総額)は約240億円」と書いている。「調理能力2倍」のためだけに「約240億円」を投じる訳ではないだろう。その意味でも誤解を招く恐れがある。
※今回取り上げた記事「マクドナルド、店大型に 240億円投じ調理能力2倍」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210508&ng=DGKKZO71673970X00C21A5EA5000
※記事の評価はD(問題あり)
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