2019年6月9日日曜日

久留米大学の塚崎公義教授の誤り目立つ東洋経済「50歳からのお金の教科書」

久留米大学の塚崎公義教授は経済記事を書くための基礎的な知識が欠けているのではないか。週刊東洋経済に載った「50代は貯蓄を増やすチャンス 人生100年時代のお金は本当に1億円必要なのか?」という記事を読んでそう感じた。東洋経済の編集部には以下の内容で問い合わせを送っている。
久留米市の千光寺(あじさい寺)
       ※写真と本文は無関係です

【東洋経済新報社への問い合わせ】

週刊東洋経済 編集長 山田俊浩様  久留米大学教授 塚崎公義様

6月15日号の特集「50歳からのお金の教科書」に出てくる「STEP1 基本編 50歳からどう増やす!? 知っておくべきお金の超基本~50代は貯蓄を増やすチャンス 人生100年時代のお金は本当に1億円必要なのか?」という記事についてお尋ねします。記事の中で塚崎様は以下のように説明しています。

現金や銀行預金のほうが安全だと考える人は多いだろうが、決して安全ではなく、インフレに弱いリスク資産であることを覚えておこう。毎年1%のインフレでも、30年間で30%も目減りしてしまうし、万が一大災害などが起きれば物価が何倍にも跳ね上がる可能性も否定できない

現金」の価値は「毎年1%のインフレでも、30年間で30%も目減りしてしまう」でしょうか。26%程度の「目減り」で済むのではありませんか。少なくとも「30%」には届かないはずです。計算方法を間違えていませんか。

また「銀行預金」に関しては「インフレ」で「目減り」するとは限りません。金利が付くからです。基本的には「インフレ」率が高まると金利も上昇します。実質金利がマイナスになる場合もありますが、必ずそうなる訳ではありません。

さらに言えば、国内の「銀行預金」は「リスク資産」ではありません。特にペイオフ対象の1000万円以下の預金は国債並みに「無リスク」です。

リスク資産」とは「高利回りが期待されるが元本割れの危険もある金融資産。株式・投資信託・外貨預金・対外証券投資・外国為替証拠金取引(FX取引)など」(デジタル大辞泉)です。「インフレに弱い資産は『リスク資産』」との趣旨でしょうが、一般的な定義とは乖離しており、読者に誤解を与える説明です。

万が一大災害などが起きれば物価が何倍にも跳ね上がる可能性も否定できない」との説明も問題なしとしません。「可能性」ゼロとは言いませんが、東日本大震災が起きても「物価」は安定していました。「大災害」が起きると「物価が何倍にも跳ね上がる」かもしれないと心配する必要性はかなり小さいはずです。

また「銀行預金」に関して「30年間で30%も目減りしてしまう」ことを心配するのであれば、本物の「リスク資産」への投資はためらわれるはずです。株式などでは1年で「30%も目減りしてしまう」事態が十分にあり得ます。

次に問題としたいのは「公的年金はどれだけ長生きしても、死ぬまでしっかり受け取れる。しかも、インフレになれば原則としてインフレ分だけ支給額が増えていく」という記述です。

これを信じれば、5%の「インフレ」であれば「公的年金」の「支給額」も「原則として」5%「増えていく」はずです。しかし現行制度ではあり得ません。マクロ経済スライドが適用になるからです。厚生労働省の説明によれば、マクロ経済スライドは「年金額」を「賃金や物価が上昇するほどは増やさない」制度です。数十年に亘ってインフレ時には調整が続きます。

「(公的年金は)インフレになれば原則としてインフレ分だけ支給額が増えていく」との説明は誤りではありませんか。現行制度の下で「インフレ分だけ支給額が増えていく」可能性はゼロです。「原則として」と断ってはいますが、支給額の増加率は必ずインフレ率を下回るのですから「原則としてインフレ分だけ支給額が増えていく」とも言えないはずです。

退職前日の段階で、住宅ローンの残高と金融資産の残高が同じならよい(純資産がマイナスでなければよい)ということになる」との記述も気になりました。

純資産がマイナスでなければよい」のであれば、「住宅ローンの残高」が「金融資産の残高」を上回っていても、それだけでは問題とならないはずです。不動産などの非金融資産の大きさ次第です。不動産を考慮せずに「純資産」を考えていませんか。

最後に「『投資をしないで全額を銀行預金で』という選択肢だけは勧められないことを最後に明記しておく」との結論にも注文を付けておきます。

銀行預金」は「リスク資産」だという塚崎様の考えに基づけば「銀行預金」に資金を投じるのは立派な「投資」ではありませんか。「リスク資産」に資金を投じても「投資」ではないと言う場合、「投資」をどう定義しているのですか。

問い合わせは以上です。お忙しいところ恐縮ですが、回答をお願いします。週刊東洋経済では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。編集長の山田様には、この点に関して見直しを要請します。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心掛けてください。


◇   ◇   ◇


追記)結局、回答はなかった。


※今回取り上げた記事「50代は貯蓄を増やすチャンス 人生100年時代のお金は本当に1億円必要なのか?
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/20756


※記事の評価はD(問題あり)。塚崎公義教授への評価も暫定でDとする。

3 件のコメント:

  1. よくぞ言ってくださいました。
    ただ「どっこいしょ経済誌」と「メディアに媚びる虚言壁患者」、こいつら正しても既に手遅れなのが日本だと感じます。

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  2. 題名は忘れましたが、以前塚崎公義氏の経済記事を読んでオカシイと思っていましたが、先程、
    「悔しい「マスクの高額転売」を野放しにせざるを得ないワケ」
    https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200301-00025741-gonline-bus_all
    を読んでこの記事はヘリクツだと思って検索したらここに辿り着きました。
    貯蓄の話も明らかにオカシイですね。
    マスクの話ですが、高額転売者を正当化する話で許しがたく思いました。
    この理屈には非常事態における政府の介入というファクターが抜けています。
    台湾で行われた、見事なマスク不足対策の話が以下の記事に書いてありますが日本は見習って欲しいです。
    「台湾はいかに民主的に新型コロナウイルスとの防疫戦を展開しているのか」
    https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g00853/?pnum=1

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  3. 鹿毛秀彦 先生

    ①  塚崎公義久留米大学商学部教授は、日本が財政破綻しそうになったら、超円安になるから、そういう超円安の時に、たとえば、1米ドル=1000円の時に、日本が多量に保有する米国債を売却すれば、すぐに借金は返せると主張している。

    ②  素晴らしい主張ではないか?

    ③  このままだと財政破綻するだとか、福祉や医療、教育の施策を実施するために使う資金調達のため、消費税を導入する必要があるなどという、財務省のデタラメより、塚崎公義教授の方が、ずっとまともだ。

    ③ 大体、1887年=明治20年まで、日本には所得税さえなかったのだから!

    桂 秀光(かつら ひでみつ)
    2021年7月17日

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