2018年7月8日日曜日

武藤はCFとして海外で勝負できてない? 日経 岸名章友記者に問う

日本経済新聞のサッカー担当記者で誰を最も評価するかと問われれば、迷わず岸名章友記者と答える。日経全体を見渡しても、岸名記者以上の評価を与えられる書き手はあまり思い付かない。ただ、7日の朝刊スポーツ1面に載った「検証西野J 見えたか8強(下)いでよ おっさん超す力 ボランチ、GK…中軸育つか」という記事には少しツッコミを入れたくなった。
大雨で冠水した「洋服の青山久留米合川店」周辺
         ※写真と本文は無関係です

まずは以下のくだりだ。

【日経の記事】

ロシア大会は2010年南アフリカ大会組、08年北京五輪世代らベテランの「定年延長」で乗り切った大会でもあった

長友が31歳らしからぬ走力で奔走し、香川(29)は往時の輝きを放ち、本田(32)も短い出場時間ながらも決定的な仕事をした。長谷部(34)のポジショニングとプレーの読みは年の功といいたくなるほど。4年前の悔しさを知り、海外のクラブで日々海外勢と戦いながら積んだ経験はダテではないと思わせるだけのものがあり、代表に安定感をもたらした。



◎代表は28歳で「定年」?

香川(29)」も「定年延長」の対象者に入っているので、岸名記者にとってサッカー日本代表の「定年」は28歳以下なのだろう。少し若過ぎないか。例えば、ポルトガルのスーパースターであるクリスティアーノ・ロナウドは33歳だが、疑う余地なくバリバリの主力だ。岸名記者から見ると、ロナウドも「定年延長」組なのか。「定年」と言うぐらいだから、その線引きは実力ではなく年齢で決まるはずだ。

記事の書き方だと「長谷部(34)」が「北京五輪世代」に見えてしまうのも気になる。「北京五輪世代ら」と書いているのでそれ以外の「世代」も含んでいるとの弁明は可能だ。しかし、記事を読んだ多くの人はアテネ世代の「長谷部(34)」を「北京五輪世代」だと思ってしまうだろう。

話を次に移そう。

【日経の記事】

欧州組が当たり前になったとはいえ、多くはサイドのMFやSB。CF、ボランチ、CB、GKなど中軸たるセンターラインのポジションで海外でも勝負できているのは大迫、吉田くらいだ。8強の大望を実現するなら、幹となるそれらのポジションで世界水準の「個」が出てきてほしい。



◎武藤は海外で勝負できてない?

引っかかったのは「CF、ボランチ、CB、GKなど中軸たるセンターラインのポジションで海外でも勝負できているのは大迫、吉田くらいだ」との記述だ。W杯メンバーの武藤嘉紀はセンターフォワード(CF)として「海外でも勝負できている」と思えたからだ。

スポニチの6月18日の記事では武藤を「確固たるセンターFWとしてマインツを2年連続で1部残留に導いた男」と評している。だとしたら「海外でも勝負できている」と考えるべきだろう。
大雨で水位が増した筑後川(福岡県久留米市)
            ※写真と本文は無関係です

柴崎岳も「ボランチ」として「海外でも勝負できている」と言えるのではないか。スペインのチームでは十分な出場機会が得られていない時期もあったようだが「勝負できていない」と断じるのは酷な気がする。

こんな感じでツッコミは入れてみたが、岸名記者への信頼は揺らいでいない。サッカー愛にあふれる熱い記事を、今後も高い完成度で届けてほしい。


※今回取り上げた記事「検証西野J 見えたか8強(下)いでよ おっさん超す力 ボランチ、GK…中軸育つか


※記事の評価はC(平均的)。過去の記事も考慮に入れて岸名章友記者への評価をB(優れている)とする。

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