2018年7月11日水曜日

「昔の人は早熟」? 週刊ダイヤモンド深澤献編集長の誤解

週刊ダイヤモンドの深澤献編集長が7月14日号の編集後記で述べているように「昔の人は早熟だった」かもしれない。ただ、「昔の映画などを見ると、確かに20〜30代が社会の中堅どころの役回りを務めていることが多い」という点に根拠を求めるのは無理がある。そこに近年との大きな差はなさそうだ。深澤編集長には以下の内容で問い合わせをしてみた。
大雨で増水した筑後川(福岡県久留米市)
        ※写真と本文は無関係です

【ダイヤモンドへの問い合わせ】

週刊ダイヤモンド 編集長 深澤献様

御誌を定期購読している鹿毛と申します。深澤様が書かれた7月14日号の「From Editors」についてお尋ねします。気になったのは以下のくだりです。

でも、昔の映画などを見ると、確かに20〜30代が社会の中堅どころの役回りを務めていることが多い。中学生に人生訓を垂れる『金八先生』を演じた武田鉄矢さんは当時29歳でした。昔の人は早熟だったんだなあと、いまだに子供っぽいとおちょくられがちな私はただ驚くばかりです

仲間由紀恵さん主演の「ごくせん」というテレビドラマがありました。深澤様風に言えば「高校生に人生訓を垂れる『やんくみ』を演じた仲間由紀恵さんは当時22歳でした」。これは2002年の第1シリーズの年齢で、2008年の第3シリーズでも「武田鉄矢さん」より若い28歳です。

教師以外にも目を向けてみましょう。2017年に第3シリーズが放送されたテレビドラマ「コード・ブルー」では山下智久さん、新垣結衣さん、戸田恵梨香さんらが研修医の指導役を演じています。当時の年齢はそれぞれ32歳、29歳、28歳です。「20〜30代が社会の中堅どころの役回りを務めている」例と言えるでしょう。

昔の映画など」を根拠に「昔の人は早熟だったんだなあ」と判断するのは誤りではありませんか。個人的な感想だとは思いますが、多くの読者が目を通すコラムで不正確な情報を伝えるのは好ましくありません。

せっかくの機会なので、他にもいくつか指摘しておきます。

まず「金八先生」がテレビドラマではなく「昔の映画」の登場人物に見えるのが気になります。また、「金八先生」シリーズは長く続いたドラマなので、武田さんは「29歳」より上の年齢でも「金八先生」を演じています。この辺りも正確に書くべきでしょう。

コラムの中で深澤様は「いまだに子供っぽいとおちょくられがちな私」と述べています。しかし、悪い意味で「大人」になっている気がします。でなければ、編集長として読者からの間違い指摘を次々と握り潰すような対応はできません。ジャーナリズムの理想に燃える純粋な若者であれば、良心の呵責に耐えられなくなります。

今号の特集3「西側の同盟揺るがす『ハイブリッド戦争』  欧州・ロシアの新冷戦」でも複数の誤りが散見されました。記事に付けた地図で「NATO加盟国」のモンテネグロを非加盟国にしたりと、様々な問題があったのは別のメールで送った通りです。

今回も「悪い大人」の見本となるお考えですか?

◇   ◇   ◇

追記)結局、回答はなかった。

※今回取り上げた記事「From Editors
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/23967


※記事の評価はD(問題あり)。深澤献編集長への評価はE(大いに問題あり)を据え置く。深澤編集長に関しては以下の投稿も参照してほしい。

AIに関する週刊ダイヤモンド深澤献編集長の珍説を検証
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/02/blog-post_6.html

西船橋は「都心」? 週刊ダイヤモンド特集「勝つ街負ける街」
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/01/blog-post_79.html

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