旧門司税関(北九州市)※写真と本文は無関係です |
【日経への問い合わせ】
日本経済新聞社 河浪武史様 国際アジア部 担当デスク様
19日の朝刊国際2面に載った「米利上げ 独走強まる 『2~3年好況持続』 FRB議長証言、減税効果挙げる」という記事についてお尋ねします。「米利上げ 独走強まる」と見出しでも打ち出しているので、「利上げ」に関して米国は「独走」状態にあるはずです。しかし、本当にそうですか。
例えば、トルコは5月に政策金利を8%から16.50%へ引き上げ、6月にはさらに17.75%へと見直しています。アルゼンチンも負けていません。5月5日の日経の記事では「アルゼンチンの中央銀行は4日、政策金利を6.75%引き上げ、年40%にすると発表した。この8日間で3度目となる利上げで、金利の引き上げ幅は計12.75%に達する」と報じています。両国とも、引き上げ幅の大きさや金利水準の高さで米国を圧倒しています。
記事では「景気に一服感がある欧州や新興国と比べ、米経済は今や『独り勝ち』に近い。FRBの利上げ路線も独走の気配が漂ってきた」と書いているので、「独走」かどうかを判断する比較対象に「新興国」も含めているはずです。記事中に「(米国の)政策金利は既に1.75~2.00%と先進国の主要10中央銀行で最も高い」といった記述はありますが、「米利上げ 独走強まる」に関して、「先進国の中での話」と解釈できる説明はありません。
「米利上げ 独走強まる」「FRBの利上げ路線も独走の気配が漂ってきた」との説明は誤りだと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。
付け加えると「景気に一服感がある欧州や新興国と比べ、米経済は今や『独り勝ち』に近い」との説明にも疑問が残ります。記事では「国際通貨基金(IMF)は18年の米経済の成長率を2.9%と予測。2.2%のユーロ圏や1.0%の日本とは成長ペースでも差が開いてきた」と書いていますが、この予測で世界全体の18年の成長率は3.9%となっています。IMFは一部の原油輸出国については強気の見通しも示しています。なのに、世界全体の成長率を下回る米国を「今や『独り勝ち』に近い」と言えるでしょうか。
問い合わせは以上です。回答をお願いします。御紙では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。「世界トップレベルのクオリティーを持つメディア」であろうとする新聞社として、責任ある行動を心掛けてください。
◇ ◇ ◇
追記)結局、回答はなかった。
※今回取り上げた記事「米利上げ 独走強まる 『2~3年好況持続』 FRB議長証言、減税効果挙げる」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180719&ng=DGKKZO33099140Y8A710C1FF2000
※記事の評価はD(問題あり)。河浪武史記者への評価はDで確定とする。河浪記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。
「インフレはドル高招く」と日経 河浪武史記者は言うが…
http://kagehidehiko.blogspot.com/2016/12/blog-post_14.html
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