2018年1月17日水曜日

北上製紙、解散なのに従業員は「依願退職」? 日経報道に疑問

会社が解散するのに、従業員は「依願退職となる」らしい。17日の日本経済新聞朝刊企業総合面に載った「日本製紙系の北上製紙、解散方針を発表」という記事にはそう出ている。本当だろうか。
甘木鉄道 甘木駅(福岡県朝倉市)※写真と本文は無関係です

まずは記事の中身を見てみよう。

【日経の記事】 

日本製紙は16日、62.9%を出資する北上製紙(岩手県一関市)が7月にすべての事業から撤退すると発表した。段ボールの原紙や新聞用紙の生産・販売を停止する。時期は未定だが、会社は解散する方針。インターネット通販の普及で段ボールの需要は堅調だが、中国での需要増加で段ボール原料の古紙が値上がり。4期連続の営業・最終赤字に陥っていた。

北上製紙では関連企業を含めて100人を超える従業員が依願退職となる。同社は2017年3月期の売上高が54億円、営業利益は1億8700万円の赤字。段ボール原紙の生産量は年間約8万トンで、日本製紙本体がつくる量の約6%にあたる。営業地域がほぼ東北地方に限定されており収益改善が難しかった。

製紙業界では洋紙の需要が低迷し、讃州製紙(高松市)が16年3月に製紙事業から撤退。日本製紙は17年11月、古紙価格の高騰により18年3月期の連結営業利益予想を150億円と、従来予想の半分に下方修正している。

◇   ◇   ◇

日経の報道が正しければ、北上製紙の従業員は「依願退職」になる。会社が解散し、親会社が面倒を見ないのならば普通は「解雇」となりそうなものだ。そこで調べてみたものの、日本製紙の発表資料には「依願退職」かどうかを判断できる情報がなかった。

参考になるのは河北新報の「<北上製紙>社長『従業員の再就職を支援』 老舗の事業停止、地域経済への影響懸念」という記事だ。「北上製紙は関連会社を含めて約120人の従業員を抱えている。会社は労働組合に7月20日付の全員解雇を提案し、再就職に向けた労使の協力態勢を固めたい考えだ」と出ていた。

河北新報の報道を信じれば、従業員の多くは「解雇」となる。もちろん「依願退職」の可能性が消えたわけではない。日経の報道が誤りなのか、少し様子を見たい。


※今回取り上げた記事「日本製紙系の北上製紙、解散方針を発表」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180117&ng=DGKKZO25757450W8A110C1TI1000

※今回は記事への評価を見送る。

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