2018年1月7日日曜日

週刊ダイヤモンドが無視した13の問い合わせ(2017年)

確率」とすべきところを「確立」と書いてしまった--。非常に瑣末な話だ。読者から間違い指摘を受けたら、間違いを認めて訂正すれば済む。なのに今の週刊ダイヤモンドにはそれが難しい。今回は筆者からの要請を受けて、嫌々ながら訂正を出したのだろう。だが、回答は今回もない。そこで新年の挨拶も兼ねて深澤献編集長にメールを送ってみた。ついでに、2017年に同誌が無視した問い合わせも再送している。
九州国際重粒子線がん治療センター(佐賀県鳥栖市)
         ※写真と本文は無関係です

【ダイヤモンドへのメール】

週刊ダイヤモンド編集長 深澤献様

明けましておめでとうございます。御誌を定期購読している鹿毛と申します。

1月13日号に「訂正とお詫び」が出ていました。その内容は以下の通りです。

本誌2017年12月23日号134ページの、「常識的な答えは、『選択を変えても変えなくても勝てる確立は同じ』」について、「常識的な答えは、『選択を変えても変えなくても勝てる確率は同じ』」に訂正します。


私は昨年12月18日にこの件で間違いを指摘し、訂正記事の掲載を求めました。しかし、御誌からの回答はなく、次号に訂正も出ませんでした。そこで筆者の野口悠紀雄氏に問い合わせをして「編集部に訂正掲載を依頼します」との回答を得ました。

今回、「訂正とお詫び」を掲載したのは、野口氏からの依頼があったからでしょう。それを無視しなかったのは評価できます。しかし、私の問い合わせには依然として何の回答もしていません。

訂正に踏み切ったのですから、誤りがあったことには深澤様も異論がないはずです。なのになぜ、読者からの間違い指摘は無視したのですか。そして、訂正記事を載せた段階でも回答をしない理由は何ですか。

御誌では読者からの間違い指摘を無視する対応が当たり前になっています。今回は「読者からの指摘は無視しておけばいいけど、筆者に言われたら仕方がないか…」といった判断が働いたのでしょう。しかし、間違いは誰に指摘されようが間違いです。気付いた段階で訂正に動き、指摘してくれた人には誤りがあった旨を伝えるのが当然です。

新年ということもあり、御誌が2017年に無視した間違い指摘を再度送っておきます。丁寧な言葉遣いで、きちんと根拠を示して間違いを指摘しているつもりです。それを無視することに、どんな正しさがあるのでしょうか。

2018年こそ御誌が良い方向に変わっていくように祈念しています。そして、進むべき道を決めるのは、おそらく深澤様です。「どちらに進むのがメディアとして正しい選択なのか」を年の初めにもう一度考えてみてください。


◆問い合わせ~その1

2月11日号の特集「子会社『族』のリアル」に出てくる66ページの図についてお尋ねします。図の中では「ジェイフォン」から「ソフトバンク」にオレンジ色の矢印が出ており、その矢印の意味は「合併・売却」となっています。

ここから判断すると、ジェイフォンはソフトバンクに売却されたか、ソフトバンクと合併したかのどちらかです。しかし、いずれも実現していないのではありませんか。ジェイフォンは英ボーダフォンの傘下に入って、日本でもボーダフォンとなりました。ソフトバンクは2006年にボーダフォンの日本法人を買収していますが、ジェイフォンを買ったわけではありません。

図の表記は誤りだと考えてよいのでしょうか。正しいとすれば、その根拠も併せて教えてください。


◆問い合わせ~その2

3月25日号の特集「国鉄 vs JR 民営化30年の功罪」の中の「トップを直撃~ 島田 修(JR北海道社長)」という記事についてお尋ねします。この記事で島田社長は以下のように語っています。「当社は約200億円の経常赤字で、加えて、減価償却費を上回る100億円の設備投資をしています。何も手を打たなければ、毎年300億円ずつのキャッシュアウトを伴う」。この発言には2つの疑問が浮かびます。

まず、JR北海道にとって「100億円の設備投資」は「減価償却費を上回る」ものでしょうか。「約200億円の経常赤字」との発言から判断して、2017年3月期の単独決算(経常損益で235億円の赤字予想)をベースにしているのでしょう。同社の発表資料によると、17年3月期の減価償却費は247億円の見込みで、設備投資額の100億円を大きく上回っています。

次に気になったのが「毎年300億円ずつのキャッシュアウトを伴う」との発言です。島田社長の言い分に合わせて、ここでは減価償却費が90億円で設備投資額を下回ると仮定しましょう。経常赤字は200億円ですが、キャッシュアウトを伴わない90億円の減価償却費を考慮するとキャッシュアウトは110億円程度になります(特別損益は考慮しません)。これに設備投資額の100億円を加えてもキャッシュアウトは210億円にとどまります。減価償却費が本当は「247億円」だとすれば、キャッシュアウトは100億円を大きく下回ります。

「減価償却費を上回る100億円の設備投資をしています」「何も手を打たなければ、毎年300億円ずつのキャッシュアウトを伴う」という発言に関しては誤りと考えてよいのでしょうか。記事に問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。誤りであれば訂正記事の掲載もお願いします。


◆問い合わせ~その3

3月25日号の特集「国鉄 vs JR 民営化30年の功罪」の中の「トップを直撃~ 島田 修(JR北海道社長)」という記事について、3月20日に間違い指摘をさせていただきました。

記事中で「当社は約200億円の経常赤字で、加えて、減価償却費を上回る100億円の設備投資をしています。何も手を打たなければ、毎年300億円ずつのキャッシュアウトを伴う」と島田社長は発言しています。しかし、2017年3月期の同社の減価償却費見込みは「247億円」なので、「減価償却費を上回る100億円の設備投資をしています」という記事中の説明と矛盾が生じます。

この件に関してJR北海道から回答を得ました。それによると「減価償却費を上回る100億円の設備投資をしています」という部分は、「減価償却費を100億円上回る設備投資をしています」とするのが正しいそうです。JR北海道の見解に問題がなければ、記事の記述は誤りとなります。御誌としてはどのようにお考えでしょうか。

「読者からの間違い指摘など無視しておけばよい」という方針を御誌が貫いていることは十分に理解しています。しかし、今回のような件で放置を続けてよいのでしょうか。島田社長が言い間違えたのか、御誌の記者が聞き間違えたのかは分かりません。しかし、JR北海道の発表資料に当たれば減価償却費は容易に確認できます。間違いの責任は基本的に御誌にあるはずです。

間違い自体は私も含めて誰にもあるものなので、厳しく責めるつもりはありません。しかし、説明責任はきちんと果たすべきです。購読料を払ってくれている読者が間違いを指摘してくれて、実際に記事の説明が誤りだった。その時に、読者に対して無視で済ませるメディアにどんな正しさがあるのでしょうか。

雑誌編集局・局長の鎌塚様、編集長の田中様の責任は特に重大です。メディアとしての説明責任を果たさない悪しき伝統をダイヤモンド編集部に根付かせ、後に続く世代の手まで汚してしまうのです。その罪深さに改めて思いを巡らせてください。


◆問い合わせ~その4

5月20日号の特集「関西流企業の逆襲」についてお尋ねします。記事では「京阪神の3都人」に共通する気質として「行列に並ばない」ことを挙げ、以下のように記しています。

「イラチの大阪人が並んで待つなんてことは考えられないし、京都人は人まねが嫌いなので、行列のある場所には意地でも行かない。神戸人は選択肢をたくさん持っているので、わざわざ行列のある店を選ばない」

一方、別の記事では京都の現状について「四条河原町という京都一の繁華街に、大行列ができる抹茶専門店がある。東京の企業が『京都』を売りにして海外展開し成功した業態を京都に逆輸入した。インバウンド客だけでなく、今や京都人も列を成す繁盛ぶりだ」と説明しています。

京都人は「行列のある場所には意地でも行かない」はずなのに、四条河原町の抹茶専門店が「今や京都人も列を成す繁盛ぶり」なのは解せません。「京阪神の3都人」が「行列に並ばない」というのは間違いではありませんか。個人的な経験で恐縮ですが、過去には大阪市内でも食べ物屋に並ぶ光景が当たり前に見られました。その全てが大阪外の人とは考えにくい気がします。

仮に「京阪神の3都人」が「行列に並ばない」との説明が正しいとすれば、京都の抹茶専門店に「京都人も列を成す」のは、どう理解すればよいのでしょうか。納得できる回答をお願いします。


◆問い合わせ~その5

櫻井よしこ様 週刊ダイヤモンド編集部担当者様

櫻井様が9月2日号に寄稿された「オピニオン縦横無尽~反安倍政権の偏向報道続く大手メディア 注目される沖縄ローカル紙の本島進出」という記事についてお尋ねします。

記事では「知事を三期一二年務めた加戸氏は国家戦略特区制度の下で獣医学部新設を申請した加計学園の問題の、当事者である。氏は国会閉会中審査で三度、参考人として証言し、同問題に安倍晋三首相が介入していなかったこと、介入の余地は全くなかったことを、申請経過を辿りながら明快にした」と述べた上で、「地上波テレビ局のニュース番組やワイドショー番組、『産経』『読売』を除く大手新聞、とりわけ『朝日』『毎日』『東京』などは、氏を徹底的に無視した」と断定しています。

これを信じれば、前愛媛県知事の加戸守行氏が国会閉会中審査の場で加計学園の問題に関して「安倍晋三首相が介入していなかった」と訴えたことを毎日新聞は一度も報じていないはずです。

しかし「岡山・加計学園~獣医学部新設問題 閉会中審査 『記憶にない』20回 政府側、説得力欠く」(7月25日 大阪朝刊)という記事では「『首相にぬれぎぬ』 前愛媛知事、正当性訴え」という中見出しを立てて以下のように記しています。

<毎日の記事>

24日の衆院予算委には、愛媛県の加戸守行前知事も出席し、手続きの正当性を訴えた。加戸氏は「首相にあらぬぬれぎぬがかけられている」と切り出し、同県が長年、学園都市構想実現のために誘致に取り組み、手を挙げてくれたのが加計学園だったと力説した。

東京から乗り込んで来た獣医師会の方々が学園の悪口をぼろくそ言うから、『あなたのところで(学部を)作っていただけるならいつでも喜んでお受けします』と言ったが、なしのつぶて」と皮肉った。

◇  ◇  ◇

これでも毎日に関して「加戸氏を徹底的に無視した」と言えるでしょうか。上記の記事を見る限り、「きちんと加戸氏の言い分を伝えている」と評価してもいい内容です。

報道量は読売や産経より少ないのかもしれません。しかし「徹底的に無視」しているとは思えません。少なくとも毎日に関して「氏を徹底的に無視した」との説明は誤りではありませんか。正しいとすれば、その根拠も併せて教えてください。


◆問い合わせ~その6

9月9日号の「Inside~産ガス国に反旗を翻した日韓『LNG取引』主導権争いが勃発」という記事についてお尋ねします。

記事には「2008年以降、天然ガスの価格は米国・欧州で下がる一方なのに、原油価格と連動する日本では高止まりしている」との記述があります。08年と言えば、WTI相場が1バレル当たり147ドルの最高値を付けた年です。最近はこの高値を100ドルほど下回る水準で推移しています。日本の天然ガス価格が「原油価格と連動する」のならば、「2008年以降」に「高止まりしている」のは不可解です。

新電力ネットによると、08年以降に日本の天然ガス価格は大きく下げているようです。08年は100万BTU当たり11.59ドルでしたが、17年6月には5.52ドルと半値以下になっています。年次の推移を見ると、09年に大きく下げた後、12年に18.15ドルまで上げ、その後は下げ基調が続く展開になっています。「高止まり」とは「高水準で横ばい」という意味ですが、実際にはかなり激しく上下しています。

「米国・欧州で下がる一方」との説明にも問題がありそうです。例えば欧州の場合、10年の8.22ドルが12年には11.98ドルまで上昇しており「下がる一方」とは言えません。17年6月の価格を前年同月比で見ても、米国は14%、欧州は23%のプラスです。

08年以降の天然ガス価格について「米国・欧州で下がる一方」なのに「日本では高止まりしている」との説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題ないとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。


◆問い合わせ~その7

9月16日号の特集「1982~2017 35年の偏差値と就職実績で迫る大学序列」についてお尋ねします。Part 5の「『東大』よりも医学部! エリート街道の変貌」という記事に「全国の大学の中で最も高い偏差値をたたき出しているのは今も30年前も、東京大学の理科三類である」との記述があります。

しかし「特別付録~大学35年間の歴史を凝縮 181大学1122学部『全』偏差値」という表を見ると、30年前(1987年)の偏差値(ベネッセコーポレーション)は東京大学で言えば文1が81、文2が80で理3の79を上回っています。2017年でも文1は80で理3の79より上です。

17年の私立大学を見ると、慶応義塾大学に法(83)、経済(81)、早稲田大学に法(80)、政治経済(82)、商(80)、国際教養(80)と東大理3の79を上回る偏差値がかなりあります。

文系と理系、私立と国立などを単純に比較できないのは分かりますし、東大理3が難易度では「今も30年前も」最も高いのかもしれません。しかし「特別付録」を見る限り「全国の大学の中で最も高い偏差値をたたき出しているのは今も30年前も、東京大学の理科三類である」とは言えません。

記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題ないとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。


◆問い合わせ~その8

9月23日号の特集「株&投信 超理解」に出てくる「つみたてNISA~信託報酬『最安値』&新商品が続々登場 “お墨付き”投信を徹底分析」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは以下の記述です。

「三井住友アセットマネジメントは、TOPIXと海外株のインデックスファンドに連動した商品として、確定拠出年金(DC)用のファンドをつみたてNISA用にシフト。しかも前者は、信託報酬を0.205%から0.173%に引き下げることで、TOPIX連動型としては最安の信託報酬となる」

これを信じれば「つみたてNISAの対象となる投資信託120本」の中の「TOPIX連動型」で「最安の信託報酬となる」のは、三井住友アセットマネジメントの商品のはずです(全ての投信の中で最安という意味かもしれません)。しかし、特集の中の「仮認定されたつみたてNISA対象の投信&ETF120銘柄」という表を見ると、「TOPIX連動型」で「最安の信託報酬」となる投信は「One ETFトピックス」(アセマネOne)の0.084%です。ちなみに「TOPIX連動型上場投資信託」(野村アセマネ)も0.118%で、記事中で「最安」とした「0.173%」を下回っています。

これら2本はETFですが、今回の記事ではETFを含む「つみたてNISAの対象となる投資信託120本」について論じているはずです。記事中にETFを除外して「最安」を判断したとの説明も見当たりません。

「信託報酬を0.205%から0.173%に引き下げることで、TOPIX連動型としては最安の信託報酬となる」との説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。


◆問い合わせ~その9

「つみたてNISA~信託報酬『最安値』&新商品が続々登場」という記事についてお尋ねします。

記事には「つみたてNISAの対象となる投資信託120本」について、「さらに分類してみると、日経平均株価に連動する投信が11本、TOPIX(東証株価指数)連動が17本という具合だ」との記述があります。記事中の「つみたてNISA“仮”対象ファンドの傾向」という表でも、対象指数「TOPIX」は「17本」となっています。この「17本」という数字は合っているのでしょうか。

特集の中の「仮認定されたつみたてNISA対象の投信&ETF120銘柄」という表を見ると、連動対象が「TOPIX」となっているのは「インデックス型投信」に12本、「ETF」に2本あるだけで、合計でも「14本」にしかなりません。

「つみたてNISA“仮”対象ファンドの傾向」という表では「TOPIX」の数字が違っているようなのに、表の8項目を合計すると120本で帳尻が合っています。なので、他にも間違った数値があるのではと感じて調べてみました。その結果、さらに3項目で違う数字が出ました。

まず「その他日本(10本)」です。インデックス型投信の「JPX400など」、アクティブ型投信の「国内」、ETFの「JPX日経インデックス400」を合計すると12本になります。

次に「その他外国(6本)」です。インデックス型投信の「外国株」、アクティブ型投信の「国際」を合計すると9本になります。

最後に投資対象「バランス」の「資産複合(50本)」です。これは「バランス型」(アクティブ型の中の「バランス型」含む)、「資産均等割」「ターゲットデート」を合計すると48本です。

「つみたてNISA“仮”対象ファンドの傾向」という表では、「TOPIX」と「資産複合」が実際よりも5本多く、「その他日本」と「その他外国」が実際より5本少なくなっているというのが、数えてみた結果です。少なくとも「TOPIX」は17本に届かないはずです。

「TOPIX(東証株価指数)連動が17本」との説明や、「つみたてNISA“仮”対象ファンドの傾向」という表の数値は誤りと考えてよいのでしょうか(「仮認定されたつみたてNISA対象の投信&ETF120銘柄」という表が誤りの可能性もあります)。全て正しいとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。


◆問い合わせ~その10

9月23日号の特集「株&投信 超理解」に出てくる「初級者向け~資産形成の具体的なプロセスを知る 長期運用の実践の基本とは」という記事についてお尋ねします。記事には以下の記述があります。

「利回りの目標が決まれば、次はリスクに見合ったポートフォリオ(資産構成)を考える番だ。国内債券から新興国株式までの基本6資産のリスク・リターンの関係と、投資のポートフォリオの例を左ページ上図に示した。モーニングスターの朝倉智也社長は『運用の成否の8~9割はポートフォリオで決まる』との考えを示す。ついつい先に個々の商品選びに目が行きがちだが、資産ごとの比率を決めた上で『日本株なら投信A、外国株は投信B』といった具合に資金を振り分けるのが王道ということだ」

気になったのは「ポートフォリオ」という言葉の使い方です。記事では「資産ごとの比率」「資産構成」を「ポートフォリオ」と称しています。しかし、この場合は「アセットアロケーション」とすべきではありませんか。「ポートフォリオ」は「個々の商品選び」に当てはまる言葉だと思えます。

SMBC日興証券の「初めてでもわかりやすい用語集」によると、「アセットアロケーションとは、運用する資金を国内外の株や債券などにどのような割合で投資するのかを決めることをいいます」。

「ポートフォリオ」については「金融商品の組み合わせのことで、特に具体的な運用商品の詳細な組み合わせを指します。『ポートフォリオを組む』ということは、どのような投資信託を購入しようか、株はどの銘柄で何株ほど持つか、などの検討をするという意味です」と解説しています。

さらに、朝倉智也氏が社長を務めるモーニングスターの2012年6月27日付の記事には「資産運用において、アセットアロケーション(資産配分)の重要性は高く、『運用成果の8割以上はアセットアロケーションで決まる』とよく言われている」との記述も見られます。

こうした点を考慮すると、記事中の「ポートフォリオ」は「アセットアロケーション」の誤りだと思えますが、いかがでしょうか。「ポートフォリオ」で問題ないとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。


◆問い合わせ~その11

9月23日号の特集「株&投信 超理解」に出てくる「不透明相場にも負けない 長期のコツコツ積み立て」という記事についてお尋ねします。記事には「各国の家計金融資産の推移」というグラフが付いていて、日米英の「運用リターンによる家計金融資産の推移」「家計金融資産の推移」を表しています。日本で見ると1995年との比較で前者が1.47倍で後者が1.15倍です。米英でも前者の数値が後者を上回っています。これは実際と逆ではありませんか。

「出所:金融庁」となっているので同庁の「説明資料(平成29年2月3日)」を見ると、やはり御誌の表記とは逆になっています。日本は「運用リターンによる家計金融資産の推移」が1.15倍で「家計金融資産の推移」が1.47倍です。

この資料には「我が国の家計金融資産の推移」というグラフも付いています。それによると、95年に1200兆円前後だった「家計金融資産全体」が15年に1740兆円へ膨らんでいます。伸びは「1.47倍」で問題ありません。しかし、御誌のグラフでは「1.15倍」になっています。

記事に付けたグラフの注記は誤りと考えてよいのでしょうか。問題ないとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。


◆問い合わせ~その12

10月14日号の「World Scope『from 米国』北朝鮮問題の深刻化で浮上する開戦シナリオ 1937年不況の再来?」という記事についてお尋ねします。記事中に「37年不況で世界経済が縮小すると、『自国が第一』とばかりに世界経済はブロック化した」との記述があります。しかし「37年不況で世界経済が縮小」する以前に「世界経済はブロック化」していたのではありませんか。

例えば大辞林では、スターリングブロックの始まりとされる「オタワ協定」について「1932年、世界恐慌に対処するため、イギリス連邦がオタワで開いた経済会議で結んだ協定。連邦内の特恵関税と域外への保護関税を強め、市場の安定化をはかったが、伝統的自由貿易主義が放棄され、世界経済のブロック化を促進した」と説明しています。

米国のブロック経済化の端緒となった「スムート・ホーリー法」については毎日新聞に以下の解説があります。「1929年からの大恐慌を受けて、共和党のフーバー米大統領が翌年、国内産業を保護する目的で、輸入品への高関税政策を打ち出した根拠法。提案した2人の議員の名からそう呼ばれている。結果的には、世界恐慌は深刻化し、ブロック経済化が進み、第二次世界大戦の要因になったとされる」

こうした資料の内容が正しければ、米国や英国では1930年代前半にはブロック経済化していたことになります。「37年不況」をきっかけに「世界経済はブロック化した」という記事の説明は誤りではありませんか。正しいとすれば、その根拠も併せて教えてください。


◆問い合わせ~その13

12月23日号「『超』整理日記 Number 886~神の問い掛けにこそ答える価値がある」という記事の中の「常識的な答えは、『選択を変えても変えなくても勝てる確立は同じ』ということだ」とのくだりに出てくる「確立」は「確率」の誤りではありませんか。誤りの場合は次号に訂正を出してください。回答をお願いします。

--御誌が無視した問い合わせは以上です。改めて回答を求めます。


※深澤献編集長への評価はE(大いに問題あり)とする。F(根本的な欠陥あり)とすることも検討したが、訂正記事を載せた点を評価してEに留めた。

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